研究課題/領域番号 |
22K02885
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
秋元 頼孝 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00555245)
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研究分担者 |
中平 勝子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (80339621)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 脳波 / 英語リスニング / 単語再生課題 |
研究実績の概要 |
本年度は、英語音声のリスニング時の脳波を計測する実験を実施した。実験では、英語音声のみを聴覚提示する条件と、英語音声の聴覚提示に加えて英語音声の内容を日本語に翻訳したものを字幕として視覚提示する条件とを設定し、両者で脳波を比較することを予定していた。しかしながら、実験終了後の得られた脳波データを確認すると想定以上のアーチファクトが含まれていることが分かり、様々なノイズ除去の手法を試したものの、最終的には脳波データの解析を断念することになってしまった。英語音声のリスニング後に聞き取れた内容をPCに入力するという課題を行ったことにより、PCでキーボードを用いて入力する際に生じるノイズがその次のリスニング区間のデータまで汚染してしまった可能性が考えられるが、まだ原因が確定できていない。本実験では結果にバイアスがかかることを避けるために予定数のデータを取り終わるまではデータ解析を行わないようにしたため、それが裏目に出てしまった。 そのため、字幕の有無による単語再生課題の得点の変化が、実験参加者の英語力によって異なるのかどうかを探索的に調べることとした。その結果、英語力が中程度の群においてのみ、日本語字幕の付与によって得点が向上する可能性が示された。この結果に関して、英語力が低い群は日本語字幕から英語に変換する能力がないため、また、英語力が高い群は英語音声を聞き取れるので日本語字幕から英語に変換する必要がないために、英語力が中程度の群においてのみ日本語字幕の効果が認められたのではないかと考えられる。また、日本語字幕の効果について品詞ごとの検討も探索的に行った。その結果、前置詞などの直接的に日本語字幕には表れにくい品詞においては、日本語字幕の効果がほとんど認められず、名詞や動詞などの直接的な形で日本語字幕に表われやすい品詞において得点の向上が見られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り脳波計測実験を実施したものの、実験によって得られた脳波データが使い物にならないものであったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現状ではキーボード入力時のノイズが、その次のリスニング区間まで残ってしまった可能性が考えられるが、まだ原因が確定できていない。本研究計画では、文章レベルの理解能力を検討することが目的であり、一字一句正しくリスニングできているかを評価する必要はないので、理解の確認のための課題を選択肢形式にする等で問題は解決できるのではないかと考えられる。ただし、脳波計の故障や実験担当者の未習熟が原因である可能性も考えられなくはないため、まずは問題なく脳波計測ができることを確認した上で、文章を視覚提示する形式による脳波・視線の同時計測実験を実施することとする。なお、視線については別の実験で正常にデータを取得できており、こちらについては問題がないと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
応募時の研究計画ではドライ式の脳波計を購入する予定であったが、配分率の関係で購入が不可能であったので、所有していた3台の簡易脳波計を用いて実験を行うこととした。そのために必要なその他の装置の購入を行ったが、配分額よりも必要な金額が少なかったため次年度使用額が生じた。しかし、所有していた簡易脳波計のうち2台が故障してしまったため、翌年度分として請求した助成金と合わせて簡易脳波計の購入に充てる予定である。
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