研究課題/領域番号 |
22K02886
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
益子 典文 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10219321)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教師教育 / 教員研修 / ICT活用 / 学力調査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,現職教師が自らの既有実践的知識と授業イノベーション情報の関係を理解し,意味づけることが可能な新しい研修教材「推測型研修教材」開発の方法を提案し,その効果の検証を行うことである。 研究2年目である令和5年度は,「教師の授業設計に関する実践的知識の変容条件に関する実証的研究」の遂行,とりわけ効果検証のための方法を検討した。まず「授業イノベーション情報への意味づけを可能にする推測型研修教材の開発」では,すでに開発し講義・研修で利用している〔ICT活用授業〕〔学力調査授業改善〕の推測型研修教材による効果の検証を行った。〔ICT活用授業〕で収集した224名の学生データは,最大1381文字,最小75文字と非常に分散の大きい自由記述データであり,質的分析を試みたが概念抽出は困難であった。現職教員研修の自由記述データを対象とした分析においてテキストマイニングによる頻出語の頻度分析(KH Coder3)を行ったところ,一定の成果が得られたことから(今井ほか,2024),新たにテキストマイニングによる分析を実施すためデータ加工を行っている。次に,「教師の授業設計に関する実践的知識の変容条件に関する実証的研究」では,〔学力調査授業改善〕教材の効果検証のため,主観的調査項目の分析に加え,研修修了後に教師が設計した学習指導案の分析を行った。その結果,教師の授業設計活動は,「統合型(学力調査のねらいに応じた目標設定+学習者の誤答状況を改善する教材・学習活動)」「実態重視型(学習者の誤答状況を改善する教材・学習活動)」」「目標重視型(学力調査のねらいに応じた目標設定)」に分類され,研修受講者の80%以上が「統合型」に変容していることが示された。 今後,推測型教材のさらなる効果検証を行い,研修教材の改善を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学生データの評価方法を種々検討していたため,効果検証が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
自由記述データの評価方法として,テキストマイニングの手法による見通しが立ったため,今後データ加工と分析を進める。現職教員からのデータ収集は,熟練教師を対象にしたケース分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
自由記述データの分析評価方法が確定しなかったことにより,成果発表およびベテラン教師へのインタビューデ調査,双方の旅費支出に影響があった。分析評価方法に見通しが立ったため,3年目はこれらの遂行を行う計画である。
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