研究課題/領域番号 |
22K02896
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
堀舘 秀一 創価大学, 教育学部, 講師 (10909203)
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研究分担者 |
清水 由朗 愛知県立芸術大学, 美術学部, 教授 (00247280)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | STEAM教育 / 岩絵具 / 図工科教育 / デジタル教材 / 描画ツール |
研究実績の概要 |
岩絵具の特徴の理解を促すためのテクスチャを用いたデジタル描画ツールを開発するために、以下の内容を実施した。 ①描画アプリGIMPを用いた評価実験の結果を踏まえて、Java Script + HTML Living Standardが動作するWebブラウザを有するPC上で、Webアプリケーションとして利用可能なデジタル岩絵具描画ツール(β版)の開発を進めた。 ②岩絵具のパターンタイル化に関して、不足していた色味を補うために、天然岩絵具に加え新岩絵具を含む63種類(色味)を追加した。デジタル化の手法も再検討し、フラットベッドスキャナーを使用し解像度2400dpiでスキャニング。PC上で色調を再調整し、600×600pixelにサイズ変換後、フィルター機能でシームレスタイル化。色数と表示サイズのバランスを図りパレットに配置した。 ③本描画ツールでは着色不可能な作品イメージ例として、墨の濃淡のみで描かれている長谷川等伯作「松林図屏風」の部分模写を行い、教育パッケージ用の資料として描画プロセスを記録した。 ④洗い出した基本項目を足掛かりに、伝統・文化や岩絵具と理工学的知識(鉱物名、代表的な産地、利用方法、代表的な作品、伝統色など)などSTEAM教育への関連付けを図ることを目的としたデータベース作成のための資料収集と整理を開始した。 ⑤本描画ツール(β版)の機能および操作性、本描画ツールを用いた学習効果の検証を目的に、教職を志す学生90名を対象に評価実験を実施した。岩絵具との関連性の高い題材を図画工作科の教科書で確認し、また、岩絵具の基礎知識に触れた後、本描画ツールを使用させその様子を観察。その後、操作性と学習効果に関する質問紙調査を実施し新たな改善点を明らかにした。この成果については日本科学教育学会・2023年度日本科学教育学会第3回研究会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由により、おおむね順調に進展していると考えている。 ①デジタル岩絵具描画ツールを開発する上で重要な、テクスチャを用いた塗りつぶしに関する技術情報をもとに、描画の簡便性を保証しつつ、テクスチャによる塗りの簡便性を高める手法を提案し、デジタル岩絵具描画ツール(プロトタイプ・β版)として実装するに至った。 ②伝統・文化や岩絵具と理工学的知識(鉱物名、代表的な産地、利用方法、代表的な作品、伝統色など)などSTEAM教育への関連付けを図ることを目的としたデータベース(プロトタイプ)作成のための資料収集と整理を開始した。 ③デジタル岩絵具描画ツールでは着色不可能な作品イメージサンプルとして、墨の濃淡のみで描かれている長谷川等伯作「松林図屏風」の部分模写を行い、教育パッケージ用教材の資料を作成した。また、前回の評価実験の結果を踏まえて、岩絵具の質感を描画アプリ上でパターンタイル化する手法の再検討を行い、不足している色味を補う形で、天然岩絵具に加え新岩絵具を含む63種類(色味)について追加、修正するに至った。 ④教育パッケージ構築の一環として、岩絵具の理解を深めることを目指した視覚資料としての教材や実物の岩絵具を塗布した触覚型資料を作成し、評価実験内で試験的に使用することを試みた。 ⑤デジタル岩絵具描画ツール(β版)の評価実験を行い、その機能と操作性について改善すべき点などを明らかにし、その成果について発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については以下の通り予定をしている。 ①評価実験で得られた成果をもとに、デジタル岩絵具描画ツールの設計・開発として、研究分担者(舟生)を中心に本描画ツールの操作性やテクスチャ・パレットの色数や表示サイズについて更なる改善を図っていく(舟生・堀舘)。 ②引き続き、日本の伝統・文化や理工学的知識(鉱物名、代表的な産地、利用方法、代表的な作品、伝統色など)などSTEAM教育に関連する情報の収集・整理、データベース化を進めていく。研究分担者(清水)の専門的知識と図鑑等の資料を含め文献も活用し、岩絵具との様々なつながりをまとめ、関連情報データベースのプロトタイプを開発する(舟生・堀舘)。 ③デジタル岩絵具描画ツールで使用可能な、(岩絵具を使用した)伝統的表現技法を用いた新たな作品を継続して検討(選定)していくとともに、(清水・堀舘)岩絵具のパターンタイルについて、現在の画面上の質感を維持しつつ、各パターンタイルのファイルサイズ縮小し、最適化を行うことで描画ツールの動作速度の向上を図る。(堀舘)。 ④教育パッケージ構築の一環として、岩絵具の質感について触覚を通して理解を深めるための3Dプリンターを活用した教材の作成を検討して参りたい(堀舘・清水・舟生)。 ⑤評価実験とその成果の報告(堀舘)。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は以下の通りである。 ①物品費について、予算を超えての支出となった。不足していた色味を補うための天然岩絵具と新岩絵具、データベース作成に関した資料としての書籍を購入した。また、図工・美術の教育パッケージの開発に必要な教材作成のための3Dスキャナー及び3Dプリンターを購入した。②旅費について、メールや電話等での打ち合わせや別予算からの支出により、予定していた予算執行が発生しなかったため次年度使用額を残すこととなった。③人件費について、追加色を含めた岩絵具の再デジタル化とデータベース作成のための資料収集と整理は時間を要する作業であったため予定を超える支出となった。④その他の費目について、研究代表者による使用があったが次年度使用額を残すこととなった。 ●全体として、予定を超えた支出が生じてしまったが、これまでの各費目の合計額(累計)として次年度使用額を残すこととなった。使用計画としては、各パターンタイルのファイルサイズ縮小作業、データベース作成に関する人件費が予定を超えて必要になる可能性があるため、次年度使用額を使用していくことを検討している。
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