研究課題/領域番号 |
22K03090
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
梅本 貴豊 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50742798)
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研究分担者 |
稲垣 勉 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30584586)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 動機づけ / 自己決定理論 / エンゲージメント / 授業外学習 / 大学生 |
研究実績の概要 |
今年度は、大学生の授業外学習に対する動機づけを測定する尺度の作成および動機づけと授業外学習への取り組みとの関連について検討を行った。本研究では、授業外学習を、大学の必修科目の課題(宿題)に対する授業外での学習と位置づけた。まず、原著者の許可を得たうえで、自己決定理論に基づくKatz et al.(2011)の宿題への動機づけ尺度を翻訳した。この尺度は小学生および中学生を対象としたものであるため、大学生に適さない項目は削除し、さらに、わが国の大学生用学習動機づけ尺度(岡田・中谷, 2006)などを参考にしながら新たに項目を追加し、20項目の尺度を作成した。 そして、ある大学の学生に対してオンラインによる調査を実施し、調査時点で授業外学習を課す必修科目を履修している107名のデータを分析対象とした。まず、探索的因子分析を行った結果、自己決定理論に基づく4つの動機づけが確認された。また、それらの動機づけと、授業外学習の取り組みとの関連を重回帰分析によって検討した。その結果、授業外学習の重要性や有用性に基づく動機づけである同一化調整が、積極的な授業外学習行動につながることが示された。さらに、授業外学習の面白さや興味に基づく動機づけである内的調整が、授業外学習におけるポジティブな感情につながることが示された。 以上より、授業外学習においては、内的調整と同一化調整が特に重要になる可能性が示された。授業外学習に特化した動機づけについての検討はこれまでほとんど行われていなかったため、本研究の知見は教育実践に重要な示唆を与えると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定されていた授業外学習に対する動機づけ尺度の作成と、動機づけと授業外学習への取り組みとの関連について検討することができた。そのため、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の2年目には、授業外学習の動機づけの変化を規定する先行要因の解明について検討を行う予定である。具体的には、1セメスターにおける縦断的な調査により、授業外学習の動機づけおよびその先行要因と考えられる、メタ認知、動機づけ調整方略(自分の動機づけを高めるやり方)、クラスの雰囲気や教員の指導スタイルの認知などを測定する。そして、ランダム切片交差遅延パネルモデルなどによる分析を用いて、授業外学習の動機づけの変化にどのような要因が関連するのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、国内学会がオンラインになったこと、出張が制限されたこと、国際学会での発表ができなかったことなどにより、次年度使用額が生じた。翌年度では、当該年度に行うことができなかった研究出張および、英文校正費などに研究費を使用する予定である。
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