研究課題/領域番号 |
22K03090
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
梅本 貴豊 京都外国語大学, 共通教育機構, 准教授 (50742798)
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研究分担者 |
稲垣 勉 京都外国語大学, 共通教育機構, 准教授 (30584586)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 授業外学習 / 動機づけ / 自己決定理論 / 心理的欲求の充足 / ランダム切片交差遅延パネルモデル / 大学生 / 個人内関連 |
研究実績の概要 |
本年度は、授業外学習の動機づけに影響を与える要因について検討を行った。具体的には、自己決定理論に基づき、3つの心理的欲求(自律性、関係性、有能性)の充足を取り上げ、授業外学習の動機づけとの個人間関連および個人内関連について検討を行った。全国の大学生を対象に、3時点のオンラインによる調査を行った。授業外学習の動機づけは、大学の必修授業における授業外の課題(宿題)への取り組みに対する動機づけとして測定した。 3時点の縦断データに対して、伝統的な交差遅延パネルモデル(CLPM)を用いて個人間関連を、ランダム切片交差遅延パネルモデル(RI-CLPM)を用いて個人内関連を検討した。CLPMの結果、有能性欲求の充足が、次の時点の自律的な動機づけに正の関連を示した。これは、3つの心理的欲求の中でも特に、有能性を高めるような支援が授業外学習の動機づけに対して重要であることを示している。また、自律的な動機づけが、次の時点の3つの欲求に正の関連を示した。個人間においては、授業外学習の動機づけと心理的欲求充足との相互関連が明らかにされた。 次に、RI-CLPMの結果、3つの心理的欲求は、次の時点の自律的な動機づけに関連を示さなかった。一方で、自律的な動機づけは、次の時点の自律性欲求の充足に負の関連を示した。この結果は、授業外学習に自律的に取り組むほど、自律性の欲求を満たす基準が個人内で高まっていくため、相対的に欲求の充足が低下していったものと考えられる。つまり、授業外学習に自律的に取り組む大学生に対しては、徐々に自律性支援の量を増やし、質を高めていく必要があると考えられる。特に個人内関連を検討することによって、より内的な学習プロセスについて精緻に検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、授業外学習の動機づけとその先行要因である心理的欲求充足との関連を検討することができた。そのため、予定通りに研究を進めることができていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、予定通り授業外学習の動機づけへの介入について検討を行う予定である。具体的な計画としては、前期に介入方法の検討や効果測定の尺度の選定などの準備を行い、後期に実際に介入を実施する予定である。また、今年度の研究については、国内学会(日本教育心理学会等)で発表を行い、さらに、国際誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務校の業務の関係で研究出張を行うことができなかったため、予定よりも旅費を使用しなかった。その分、次年度に研究出張(学会への参加等含む)を行う予定である。
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