研究課題/領域番号 |
22K03106
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
柴崎 光世 明星大学, 心理学部, 教授 (00325135)
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研究分担者 |
竹内 康二 明星大学, 心理学部, 教授 (00400656)
松本 優花里 (橋本優花里) 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (70346469)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 神経心理学 / 高齢者 / 認知介入 / 近赤外分光法(NIRS) |
研究実績の概要 |
本研究は,地域在住高齢者の前頭葉機能の維持・促進をねらいとした神経心理学的な認知介入プログラムを開発し,その効果を行動及び近赤外分光法(NIRS)による脳血流データの両側面から検討することを目的とした.2023年度は,前年度に引き続き神経心理学的なアプローチによる前頭葉機能(ワーキングメモリ及び実行機能)の訓練プログラムの開発(研究1)と,本研究で実施する認知介入の効果を測定するためのNIRS課題の開発及び基礎データの収集をおこなった(研究2). 研究1では,インターネットを活用したテレリハビリテーション(テレリハ)型のパソコンベースの在宅訓練プログラムの開発を主におこなった.プログラムの構成は研究代表者が高次脳機能障害者用に開発したテレリハプログラムの構成を踏襲し,ワーキングメモリについては言語的ワーキングメモリ,視空間的ワーキングメモリ,ワーキングメモリ内の情報の制御といったワーキングメモリの各プロセスにはたらきかける訓練プログラムを開発した.一方,実行機能については,反応抑制,構えの転換,認知的柔軟性,モニタリングの実行機能の各プロセスを刺激する訓練プログラムを開発した. 研究2では,ワーキングメモリと反応抑制のおのおのの機能状態を評価するためのNIRS課題(ワーキングメモリ:リーディングスパン課題,実行機能:Go/Nogo反応抑制課題)を新たに開発し,大学生を対象に基礎データを収集した.その結果,いずれの課題についても課題遂行と関連した前頭前野の賦活が観察されたことから前頭葉課題としての妥当性は確認されたものの,条件設定や刺激に関する問題がいくつか明らかになった.2024年度はこれらの問題点を修正した後,地域高齢者の認知機能の継時的変化を検討する研究3aを実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では,2023年度には本研究で実施する認知介入の効果を測定するためのNIRS課題の開発を完了し,受動的・能動的統制群の各高齢者を対象に,NIRS及び心理検査データを収集する予定であった.しかし,課題設定の難しさや装置の故障等によりNIRS課題の開発に遅れが生じていて,現時点では予定していた各統制群のデータ収集に至っていないため.
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今後の研究の推進方策 |
研究推進をはかるため,実験補助及びデータ分析補助を担う研究員や研究補助員,学生アルバイトの雇用を検討する.また,遠隔ミーティングシステムやSNS(ラインワークス)を活用して,研究代表者・研究分担者・研究協力者間での情報共有や研究にかかわる議論を促進していく. さらに,地域高齢者への研究協力依頼を円滑・効率的に進めるため,地域のシルバー人材センターの活用も検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
<次年度使用額が生じた理由> NIRS課題の開発の遅れにより,2023年度に予定していた受動的・能動的統制群を対象としたデータ収集に着手できなかったため,これにかかる予算執行がおこなえず,次年度使用額が発生した. <使用計画> 2024年度に統制群のデータ収集をおこなう際に,次年度使用額をあてることとする.
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