研究課題/領域番号 |
22K03153
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
長濱 輝代 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (40419677)
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研究分担者 |
管生 聖子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (50637139)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 周産期 / 援助要請 / 遠隔心理相談 / オンラインカウンセリング / 遠まわしの援助要請 / 心理専門職 |
研究実績の概要 |
周産期という独自の発達段階を想定したアクセスしやすい心理面接手法開発と効果的な心理支援介入に向けたサービスギャップ解明のため、本研究では、遠隔心理相談支援の現状・課題分析、妊産婦の遠隔心理相談ニーズと援助要請行動の要因分析、遠隔心理相談の促進・抑制に関する探索的検討、を目的としている。 本年度は専門家へのウェブアンケート調査の実施(継続中)および、妊産婦の遠隔心理相談ニーズと援助要請行動の要因に関する縦断研究(産後・2回目)を実施、1回目、2回目の研究結果の分析を行った。 妊娠期の援助要請の量的検討では、妊婦自身のメンタルヘルスや心理相談経験が援助要請相手の選択に影響を与えていること、特に心理職への援助要請選択には、就労経験と過去の心理職への相談経験がハードルとして存在していることが明らかにされた。質的検討からは、妊娠期の支援において母胎―胎児の関係性の影響を考慮に入れる重要性が明らかにされた。 産後の援助要請行動の分析では、先行研究で対象とされていた直接―言語での援助要請行動だけではなく、間接・非言語といった遠まわしの援助要請も明らかとなり、赤ちゃんや上の子ども、周産期の心身の疲労、夫との関係性要因といった周産期特有の理由が見出された。 遠隔心理相談・オンラインカウンセリングへの懸念や期待に関する内容分析では①オンラインに関するもの、②カウンセリングの仕組みに関するもの、③カウンセラーに関するもの、④相談内容に関するもの、⑤社会的背景に由来する課題、⑥その他、が析出された。オンラインに関するメリットとして、切迫早産や自宅安静への対処としての期待はあったものの、多くの回答ではカウンセリングに対する阻害要因が挙げられていた。このことから、方法・手段の工夫とともに、カウンセリングそのものへの阻害要因の解明・対処が重要であると明らかにされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遠隔心理支援実践の心理専門家へのアンケート調査の分析対象者が予定通りに集まらなかったため、対象を広げてリクルート及び分析を進めているところである。妊産婦へのwebアンケート調査は順調に進み、すでに回収まで終えているため、引き続き分析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
第3年度は、現在継続中の研究1の心理専門家へのアンケート調査および研究3のインタビュー調査を実施する予定である。研究2の分析結果については随時学会にて報告を行っている。分析を進めさらに報告を行う予定となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は学会発表に要する旅費や必要経費を工夫により安価に抑えることができ、かつ、アンケート調査の実施を次年度まで延長したため対象者の謝礼分の残額が生じた。繰り越しが生じた分は、継続するアンケート調査での使用および学会報告の予定で適切に処理する計画である。
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