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2022 年度 実施状況報告書

社会ネットワークの情報伝搬と非マルコフ過程の相転移

研究課題

研究課題/領域番号 22K03445
研究機関弘前大学

研究代表者

守 真太郎  弘前大学, 理工学研究科, 教授 (70296424)

研究分担者 中山 一昭  信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (20281040)
紅林 亘  弘前大学, 教育推進機構, 助教 (70761211)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードHawkes過程 / 負の二項分布 / べき指数 / デフォルト時系列データ / 非平衡相転移 / ネットワーク
研究実績の概要

1.ポリア壺とHawkes過程の関係の解明
これまでポリア壺過程とHawkes過程の関係については未解明のままで、ポリア壺過程はイジングライクな相転移から通常拡散ー異常拡散相の相転移などの多様な相転移をすることが知られている一方、Hawkes過程については定常ー非定常相の間の相転移と臨界点での強度分布の指数が知られているのみで、両過程間の関係は分かっていなかった。我々は、多期間線形ポリア壺過程の連続時間極限としてマーク付きHawkes過程を構成し、線形ポリア壺過程とHawkes過程の関係を記述した。特に、マーク付きHawkes過程の臨界点近傍での強度分布のべき指数を導出し,マークなしHawkes過程の結果を一般化した。
2.離散時間負の二項分布過程とデフォルト時系列分析
金融時系列のモデル化ではHawkes過程が用いられることが多い。我々は1.で導入した多期間ポリア壺の極限として離散時間負の二項分布過程を導出し、デフォルト数時系列データのモデリングに応用した。従来の離散時間Hawkes過程とは異なり、デフォルト数の分散をうまく記述することが出来ることを示した。また、多業種のデフォルト時系列データにも応用し、業種間でのデフォルトの影響の伝搬の様子を記述した。
3.ネットワーク上の非線形ポリア壺過程
非線形ポリア壺は安定固定点の数が変化するときにイジング的な相転移を行うことが知られている。通常のポリア壺過程では1次元的なネットワークにおいて、過去の格子点のすべての影響を受ける場合に相当する。我々は過去の影響の伝搬にネットワーク構造を導入し、格子・ランダムグラフ・スケールフリーネットワークの構造を持つ場合の相転移構造を調べた。ネットワーク構造は連続転移の普遍クラスには影響せず、不連続転移の不連続性に影響することを発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多期間ポリア壺過程とHawkes過程の研究に並行し、ネットワーク上の非線形ポリア壺過程の研究も進行している。ネットワーク構造を決めるパラメータを変更しても連続相転移の普遍クラスは変化しないこと、さらに、不連続転移では、不連続性がネットワーク構造に依存し、格子構造に近いランダムネットワークであれほど不連続性が小さくなることを発見し、論文としてまとめた。

今後の研究の推進方策

1.ネットワーク上の非線形ポリア壺の相転移を深く理解するために、ネットワーク構造を決めるモデルパラメータωとネットワーク構造の関係の理解を深める。特に、時間と共にパラメータωが変化するモデルに拡張し、パラメータを格子構造をとる値(-1)にべき減衰で漸近する場合、漸近の仕方によって相転移が異なることが分かっている。その点を詳細に分析し論文としてまとめる。
2.多期間ポリア壺過程の連続時間極限として導出したマークつきHawkes過程の強度の臨界指数を数値的に検証する。特に、べき減衰カーネルは時系列データのモデリングでも使われることが多く、そのときにべき指数の検証は興味深い。

次年度使用額が生じた理由

招待論文の英語校正費用として支出を予定していたが、執筆が年度末までに間に合わず、次年度とした。令和5年度において英語校正費用として支出予定。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] From the multiterm urn model to the self-exciting negative binomial distribution and Hawkes processes2022

    • 著者名/発表者名
      Hisakado Masato、Hattori Kodai、Mori Shintaro
    • 雑誌名

      Physical Review E

      巻: 106 ページ: 034106

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.106.034106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multi-dimensional Self-Exciting NBD Process and Default Portfolios2022

    • 著者名/発表者名
      Hisakado Masato、Hattori Kodai、Mori Shintaro
    • 雑誌名

      The Review of Socionetwork Strategies

      巻: 16 ページ: 493~512

    • DOI

      10.1007/s12626-022-00122-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Hawkes過程と自己励起NBD過程2022

    • 著者名/発表者名
      服部航大,櫻庭昂太郎,守真太郎
    • 学会等名
      弘前大学・数理データサイエンス教育センター確率解析セミナー2022
  • [学会発表] 自己励起NBD過程の連続時間極限と強度関数分布の臨界指数2022

    • 著者名/発表者名
      櫻庭昂太郎,服部航大,守真太郎
    • 学会等名
      日本物理学会
  • [学会発表] デフォルト数時系列データの統計モデリングにおけるNBDとPoissonの2つの自己励起過程の有用性の検証2022

    • 著者名/発表者名
      服部航大,久門正人,守真太郎
    • 学会等名
      日本物理学会
  • [学会発表] デフォルト数時系列データの統計モデリングにおけるNBDとPoissonの2つの自己励起過程の有用性の検証2022

    • 著者名/発表者名
      服部航大,久門正人,守真太郎
    • 学会等名
      東北ORセミナー若手研究交流会

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公開日: 2023-12-25  

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