• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

対称性の拡張によるトポロジカル量子状態の制御

研究課題

研究課題/領域番号 22K03457
研究機関東邦大学

研究代表者

河原林 透  東邦大学, 理学部, 教授 (90251488)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードトポロジカル状態 / カイラル対称性 / エッジ状態
研究実績の概要

本研究課題では、対称性の拡張により、トポロジカル量子状態の新しい制御の仕組みの提案を目指している。特に、高次元や内部自由度をもつ系への具体的な応用例を調べ、冷却原始系といった、新たな実験系におけるシステムの提案を行うことを目標としている。
昨年度までに1次元から高次元への拡張として、2次元蜂の巣格子系への拡張を行った。その中で、グラフェンナノリボンにおける厳密な固有状態としてのエッジ状態が構成可能であること、そのエッジ状態の局在長がstaggered potentialによる質量項によって制御可能であることなどを示した。これらの結果は、第29回の国際会議Low Temperature Physicsのプロシーディングス(JPS Conf. Proc. 38, 011173 (2023))として今年度出版されている。
これに引き続き、今年度は、スピン自由度のような内部自由度をもつ系への拡張を模索した。その中で、以前から研究を進めていた、強相関スピン系の1つであるカゴメ格子上の異方的相互作用を持つスピン系において、局所的な量子もつれを持つトポロジカル量子相に特徴的な、興味深いエッジ磁性が現れることがわった。そこで、まず、そのエッジ磁性について詳しい解析を行い、その結果を学術論文にまとめた(J. Phys. Soc. Jpn. に掲載決定)。さらに、3次元のパイロクロア格子での高次トポロジカル相の解析も行っている(論文準備中)。こうした結果は、エッジ状態制御の高次トポロジカル相への拡張を模索する上で有用な結果であると考えられるる。こうした強相関系での結果を踏まえ、引き続き、スピン自由度をもつ系におけるトポロジカル状態の制御の可能性を、最終年度追求していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2次元系における拡張が達成され、学術論文として出版されたことに加え、内部自由度をもつ場合への拡張を模索する中で、スピン1/2の強相関スピン系において、局所的な量子もつれ(エンタングルメント)を持つトポロジカル量子相に特徴的な、興味深いエッジ磁性の存在を明らかにすることができ、今後の内部自由度をもつ系におけるトポロジカル量子状態制御のために有用な結果を得られたと考えられるため。

今後の研究の推進方策

スピンのような内部自由度をもつ系におけるトポロジカル量子状態の制御の可能性について研究を遂行する。今年度の成果を踏まえ、高次元系、高次トポロジカル相への拡張も念頭に、どのような制御性が可能であるのかを明らかにしていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナによる規制が解除され、次年度に、今年度得られた成果を発表するのに適した国際会議、国内学会等が複数予定されており、その参加費、旅費等に有効に予算を活用したいと考えたため。特に、国際会議において発表を予定していたことから、円安のために高騰が予想されている、国際会議への参加費、旅費等へ有効に活用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mass-controlled Topological Edge States in Two Dimensions2023

    • 著者名/発表者名
      T. Kawarabayashi, Y. Hatsugai
    • 雑誌名

      JPS Conference Proceedings

      巻: 83 ページ: 011173

    • DOI

      10.7566/JPSCP.38.011173

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 異方性を持つカゴメ格子上の XXZ 模型におけるエッジ磁性2023

    • 著者名/発表者名
      青柳克、初貝安弘、河原林透
    • 学会等名
      日本物理学会第78年次大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi