研究実績の概要 |
今年度は、入射エネルギー, H/W, 材料温度の3つのパラメータを入力とする機械学習モデルの開発を行なった。 MDシミュレーションから得られる放出水素の並進エネルギー、回転準位、振動準位の分布を機械学習で予測する。学習データを用意するために、H/Wを0.1, 0.23の2値、標的材温度を300 K, 600 K, 1000 Kの3値、入射エネルギーを0.1 eV, 1 eV, 10 eV, 100 eVの4値の計24のパラメタセットにおいて分子動力学計算を行った。さらに、学習データを増やすため、1つのパラメタセットにつき、計算回数の2/3の試行をランダムに抽出したものを5セット用意し分布を計算することで120個の学習データを用意した。さらに、H/Wを0.23の1値、標的材温度を400 K, 800 Kの2値、入射エネルギーを5 eV, 50 eVの2値の計4のパラメタセットにおける分子動力学計算をおこないテストデータとした。 H/W、標的材温度、入射エネルギーの3つのスカラー値を入力し一つの分布を出力する数層の全結合ニューラルネットワークを構成し学習を行った。放出水素原子の並進エネルギー、放出水素分子の並進エネルギー、回転準位、振動準位の分布を出力する4種のモデルを構成した。例として、放出水素原子の並進エネルギーの分布を予測する機械学習モデルを図1に示す。並進エネルギー分布は15、回転準位分布は32、振動準位分布の分割数は14の要素を持つベクトルとして放出分布を予測する。損失関数は平均二乗誤差(Mean Squared Error: MSE)を用いた。 放出水素原子の並進エネルギー、放出水素分子の並進エネルギー、回転準位、振動準位を開発した機械学習モデルで予測した結果、概ね分子動力学法で計算した分布を予測できることがわかった。
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