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2023 年度 実施状況報告書

両面研磨加工における加工物‐定盤間への研磨液浸入現象の解明と効果的な供給技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K03839
研究機関金沢大学

研究代表者

橋本 洋平  金沢大学, 機械工学系, 准教授 (30456686)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード両面研磨 / 両面ラッピング / 両面ポリシング / 研磨 / 研磨液 / スラリ
研究実績の概要

半導体ウェハなどの製造に不可欠な加工技術である,加工物の上下両面を同時に研磨する両面研磨加工では,近年のDXの推進や省エネルギパワーデバイスの普及を受け,製造コスト削減をはじめとする性能向上が強く望まれている.しかし,その加工プロセスに関する理解はほとんど進んでおらず,革新的技術を着想できる状況にない.このため本研究では,両面研磨加工における重要な要素である加工物‐定盤間への研磨液浸入現象の解明に取組み,性能を向上させる技術を開発することを目的とする.
観察に基づき研磨液挙動の浸入現象の解明を試みた2022年に続き,2023年度は研磨性能を評価できる研磨実験を通じ,研磨速度に影響する因子を検討した.興味深い成果の一つとして,加工物の厚みにより加工物‐定盤間への研磨液の浸入現象が大きく異なり,加工物の上面と下面の研磨速度が逆転することを明らかにした.これはユーザ毎に加工対象が異なるため,研磨特性に関して異なる知見をもっていることを裏付ける結果であり,一般的な理論の構築を目指す学術研究の意義を明らかにする結果であるといえる.さらに加工物上面の研磨速度において,これまで着目されることがなかった加工物を保持するキャリアの果たす役割が大きく,キャリアの最適化により研磨速度を向上できることを明らかにしている.このような取り組みから,両面研磨加工の性能を向上する技術を着想できており,その効果を2024年度に検討していく.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

加工物の厚みにより,上面と下面の研磨速度が逆転するこれまで知られていなかった現象を明らかにするなど,順調に加工物‐定盤間への研磨液浸入現象を解明できているといえる.また,最終的な目標である両面研磨加工の性能を向上する技術の着想もできている.このため,おおむね順調に進展していると判断している.

今後の研究の推進方策

これまでの検討で着想されているキャリアと定盤に着目した新技術により,両面研磨加工の性能を向上効果について検討していく.なお,これまで加工物の厚みによる研磨特性の違いを明らかにしているが,加工物のサイズによっても研磨特性が異なると考えられる.このため,大型加工機を有している民間企業とも協力することで,より一般的な現象の解明にも取組む予定である.

次年度使用額が生じた理由

2024年度に開発技術の効果確認実験を多く実施するとともに、順調に得られている研究成果を広く公表する予定であり、本年度に僅かな余った予算を次年度に繰り越した。
2024年度は物品費及び旅費に繰り越し分を充てる予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 産業財産権 (2件)

  • [学会発表] 光沢仕上げ用球形メディアによるジャイロバレル研磨の表面形成に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      三宅 健太, 橋本 洋平, 古本達明,小谷野 智広, 山口 貢
    • 学会等名
      2024年度精密工学会春季大会学術講演会 第31回「学生会員卒業研究発表講演会」
  • [学会発表] バレル研磨による表面創成2024

    • 著者名/発表者名
      橋本洋平
    • 学会等名
      砥粒加工学会北陸信越地区部会令和6年度第1回研究・見学会
    • 招待講演
  • [学会発表] A method for endpoint monitoring based on platen torque in double-sided lapping2023

    • 著者名/発表者名
      Ryuki Shibasaki, Yohei Hashimoto, Tomoya Sasaki, Tatsuaki Furumoto, Tomohiro Koyano, Mitsugu Yamaguchi
    • 学会等名
      Leading Edge Manufacturing/Material and Processing 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Investigation of slurry supply to boundary between workpieces and upper platen in double-sided lapping2023

    • 著者名/発表者名
      Yohei Hashimoto, Tomoya Sasaki, Ryuki Shibasaki, Tatsuaki Furumoto, Tomohiro Koyano, Mitsugu Yamaguchi
    • 学会等名
      Leading Edge Manufacturing/Material and Processing 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 遠心バレル研磨における加工物エッジへの丸み形成に関する基礎検討2023

    • 著者名/発表者名
      山谷晃平, 橋本洋平, 小谷野智広, 山口貢, 江面篤志, 河原達樹, 伊東稔, 古本達明
    • 学会等名
      2023年度精密工学会北陸信越支部学術講演会
  • [学会発表] ジャイロバレル研磨を用いた歯車研磨における研磨量分布の調査2023

    • 著者名/発表者名
      橋本創汰, 橋本洋平, 古本達明, 小谷野智広, 山口貢
    • 学会等名
      2023年度精密工学会秋季大会学術講演会
  • [学会発表] 両面研磨における定盤トルクの変化に基づく加工終点検知技術の開発2023

    • 著者名/発表者名
      柴崎竜輝, 橋本洋平, 古本達明, 小谷野智広, 山口貢
    • 学会等名
      2023年度精密工学会秋季大会学術講演会
  • [学会発表] 両面研磨加工の理論構築を目指して2023

    • 著者名/発表者名
      橋本洋平
    • 学会等名
      令和 5 年度 第 54 回グラインディング・アカデミー
    • 招待講演
  • [図書] 半導体デバイス製造を支えるCMP技術の開発動向2023

    • 著者名/発表者名
      礒部晶, 菅井和己, 加藤丈滋, 杉本建二, 束田充, 岡本宗大, 湊拓也, 橋本洋平, 藤田隆, 須田聖一, 畝田道雄, 會田英雄, 土肥俊郎, 久保田章亀
    • 総ページ数
      148
    • 出版者
      サイエンス&テクノロジー
    • ISBN
      978-4-86428-308-3
  • [産業財産権] 遠心バレル研磨における回転数制御方法及び遠心バレル研磨方法2024

    • 発明者名
      橋本洋平, 河原達樹
    • 権利者名
      橋本洋平, 河原達樹
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2024-023367
  • [産業財産権] ワークピースの化学機械研磨システムおよび化学機械研磨方法2023

    • 発明者名
      渡邉夕貴, 安田穂積, 鈴木教和, 橋本洋平
    • 権利者名
      渡邉夕貴, 安田穂積, 鈴木教和, 橋本洋平
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-220438

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公開日: 2024-12-25  

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