研究課題/領域番号 |
22K04123
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
白井 啓一郎 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (00447723)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己相関 / ピーク解析 / パタン解析 / スペクトル解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,あるパタンが繰り返し現れる画像において,そのパタンのサイズを検出することを目的とする.パタンサイズが検出できると,画像サイズをパタンの整数倍に切り取ることで,スペクトル解析の精度や,画像中のパタン分離の精度を高めることができる. 初年度は,いくつかの検出方法を考案・実装し,有効な方法に絞っていくことを行った.現在までの成果として,シミュレーションにおいて,テンプレート画像を繰り返し並べて作成した画像であれば,パタンサイズを検出できるようになりつつある.以下,開発した方法について述べる. まず,試行錯誤の結果,パタンを含む画像の自己相関を解析することが,パタンサイズの求めやすさに繋がることが分かった.自己相関の計算結果として得られる数値列は,局所的に値が大きくなるピーク値を持ち,これが何通りかの規則に従って並んで現れるが,これらのピーク値のうち,傾斜の最もゆるい直線上に並ぶピークの「位置」の間隔が,パタンのサイズとなる. 次に,上記のような直線を推定しやすくする変換方法を新たに開発した.自己相関結果の数値列から,ある間隔 d で,数値を抽出した場合,d がパタンサイズと一致していると,ちょうどピーク位置の数値であるピーク値を抽出することになり,抽出した位置と数値を二次元座標 (位置,数値) としてプロットすると,きれいな直線上に並ぶ,一方,間隔 d が適切でない場合は,座標にバラツキが生じる.このことを利用し,全ての d について,試しに数値を抽出して,(位置,数値) の点群に引けそうな直線を求め,その傾きを計算する.すると,d が最適な場合に,傾きが極小となる結果が得られる. なお,本手法は,パタンサイズの検出の前処理として,信号処理的に自己相関やピーク解析を行いやすい状態に変換し,パタン認識で必要となりがちなクラスタリング処理を避けるような方法となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前回の推進方策で述べていた実験をこれまでに行い,提案手法の苦手な画像や状況を把握した.すなわち,繰り返されるパタン画像のサイズが15.7画素のような小数精度の場合,ピーク位置検出が難しくなるため,自己相関データに対して平滑化を施すことが妥当な方法であった.このことを,処理する画像,及び,パタン画像の組み合わせを変えて,傾向を把握しつつ,精度を保たせるための妥当な方法を探った. その他,画像全体を処理するのではなく,画像の局所的な領域ごとに(まずはブロックごとに),パタンサイズを自動で検出し,処理に適した領域サイズを決定して,パタンと画像の分離を行う実験を開始した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に行う実験としては,画像全体を処理するのではなく,画像の局所的な領域ごとに処理を行い,領域ごとにパタンサイズを自動で検出し,処理に適した領域サイズとなるように調整を行えるかどうかを調べる. 自然画像に映り込むパタンノイズは,場所によって形状が変わっていくことが多いが,局所領域として見ればパタンの形状は似ているため,パタンサイズの検出が行いやすい可能性がある. 一方,局所的な領域を扱う場合,その領域に映り込むパタンの繰り返し数は減るため,パタンサイズの検出が行いにくくなる可能性がある. このように,局所的に処理を行う場合には,トレードオフが存在するため,実際にカメラで撮影したパタンノイズ混じりの画像を処理する際に,画像全体として見たときに,上手く除去できるパタンとそうでないパタンがあると予想され,このことについて調べていく.
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