現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,構築した光学系でビームが平行光となっているか,また,設計上想定した光軸とのずれがないかを確認するために,ナイフエッジ法を用いてビームプロファイルを計測した.ビームプロファイルは複数の位置において水平方向および鉛直方向で計測した.実験によりビーム径は 15 から 20 mmの範囲内であり,ほぼ平行光に保たれていることを確認した. 次に,サンプルステージに評価用の測定サンプルとしてHDPEファントムを設置してSS-OCTで計測した.HDPEファントムは,5段の段差構造(厚さは1,2,3,5,10 mm)をもつ高密度ポリエチレン (HDPE) 製であった.光源から出射されるTHz波周波数は,600-660 GHzの範囲を0.107 GHzステップで掃引した.HDPEプレートの厚さが1, 2, 3, 5, 10 mm の部分を測定した.計測された干渉信号は,まず,平滑化のために窓関数 (ハニング窓) を適用した.さらに,解析後の分解能を改善するために,データに0の配列を追加するゼロフィリング処理を施した後,逆フーリエ変換することで断層の深さ情報を求めた.実験より,厚さ3, 5, 10 mmでは,実際の厚さと計測上の厚さの差は1 mm 以下であり,CT計測に十分な分解能を有することがわかった.また,厚さ1, 2 mm では,計測はできなかった.ここで,このSS-OCTの深さ分解能の理論値は2.48 mm である.よって,構築したSS-OCTではほぼ理論値と同じく,深さ分解能は約3 mm 程度と確認できた. 光学系の評価実験により,ビーム径により規定される横分解能はCT計測には不十分であることがわかったものの,深さ分解能は目標とする2.48 mmに近い値を実現できている.以上に鑑み,研究はおおむね順調に進展していると結論した.
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