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2022 年度 実施状況報告書

一回の実験データによる任意の制御器導入時の制御系の応答予測

研究課題

研究課題/領域番号 22K04174
研究機関近畿大学

研究代表者

小坂 学  近畿大学, 理工学部, 教授 (20340755)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードデータ駆動制御 / 閉ループ応答予測 / データ駆動予測 / 高次ARX同定 / 信頼区間解析 / V-Tiger
研究実績の概要

本研究は、2020年に提案されたV-Tiger(Virtual Time-response based Iterative Gain Evaluation and Redesign)という手法を、より実用的にするために改良することを目的とする。V-Tigerは、制御対象の数式モデルを必要とせず、実験データを直接利用して閉ループ系の時間応答を予測し、その応答から整定時間とオーバーシュートを計測し、それらと安定余裕を繰り返し評価することで、拘束条件付き非線形最適化問題を解いて線形な制御器を求める手法であり、PID制御器を1回の実験データで設計できるという利点がある。
しかし、問題点として、①単一入出力系にしか対応しておらず、多入出力系には適用できないこと、②フィードバック系が不安定の場合には予測した応答と真の応答との誤差が発散すること、そして③ノイズが存在しないことを仮定していることが挙げらる。

本研究では、まず問題点①を解決するために、V-Tigerを多入出力系に拡張する手法を提案し、多リンクロボットに適用して有用性を確認した。次に、問題点②を解決するために、1回の実験データのみで閉ループ系の安定余裕を計算する手法や、不安定な系の場合には予測した応答を解析して安定判別する手法を考案し、最適化の拘束条件に加えることで系が不安定になることを回避する手法を提案した。最後に、問題点③を解決するために、モデルの次数等の情報が不要なウィーナーフィルタや、FFTアナライザ・スペクトラムアナライザや、高次ARX同定を利用してノイズを除去する手法や、予測した応答の信頼区間を推定する手法を提案し、その有用性を確認した。これらの手法の適用により、V-Tigerの実用性が向上し、より広範な制御問題に対応できるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究実績の概要で述べた問題点①を解決するために、V-Tigerを多入出力系に拡張する手法を提案し、多リンクロボットに適用して有用性を確認した。この成果は、学会発表(2件、うち招待講演1件)で研究発表した。
次に、問題点②を解決するために、1回の実験データのみで閉ループ系の安定余裕を計算する手法や、不安定な系の場合には予測した応答を解析して安定判別する手法を考案し、最適化の拘束条件に加えることで系が不安定になることを回避する手法を提案した。この成果は、学会発表(1件)で研究発表した。
最後に、問題点③を解決するために、モデルの次数等の情報が不要なウィーナーフィルタや、FFTアナライザ・スペクトラムアナライザや、高次ARX同定を利用してノイズを除去する手法や、予測した応答の信頼区間を推定する手法を提案し、その有用性を確認した。この成果は、雑誌論文(1件、うち査読付き論文1件)と学会発表(3件)で研究発表した。

今後の研究の推進方策

今後、V-Tigerの実用性をさらに向上させ、より広範な制御問題に対応できるようにするために、以下の取り組みを行う。
① 新たな調整パラメータを導入せずに、1つの実験データで複数の応答を予測し、それらの同期加算を取る手法を提案し、ノイズを除去することを目指す。
② 予測した応答の信頼区間を推定する手法の理論的限界を明らかにし、さらに入力飽和の影響を考慮することで、その実用性を高める。
③ モデリングが困難で制御設計が難しいとされる空気圧人工筋にV-Tigerを適用し、その有用性を検証する。課題が見つかれば解決し、実用性を高めることを目指す。

次年度使用額が生じた理由

今年度分の研究を推進する上で、必要かつ十分な経費を使用したところ、270円余ったため、その270円を次年度に活用します。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 相関法と高次ARX同定によるデータ駆動制御のノイズ対策2023

    • 著者名/発表者名
      小坂 学
    • 雑誌名

      計測自動制御学会論文集

      巻: 59 ページ: 62-69

    • DOI

      10.9746/sicetr.59.62

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Data-driven design of V-tiger utilizing Wiener filter2022

    • 著者名/発表者名
      Nanami Shinozaki, Masahiro Horie, and Manabu Kosaka
    • 学会等名
      The 13th Asian Control Conference (ASCC2022, Jeju Island, Korea), ThurP2-17 (2022.5)
    • 国際学会
  • [学会発表] Data-driven design of V-tiger utilizing FFT analyzer2022

    • 著者名/発表者名
      Yu Nakae and Manabu Kosaka
    • 学会等名
      The 13th Asian Control Conference (ASCC2022, Jeju Island, Korea), ThurP2-18 (2022.5)
    • 国際学会
  • [学会発表] V-tiger for 2DOF and MIMO system and its application to 2-link robot2022

    • 著者名/発表者名
      Shogo Ichinomoto, Masaki Kuramoto*, and Manabu Kosaka
    • 学会等名
      The 13th Asian Control Conference (ASCC2022, Jeju Island, Korea), ThurP2-19 (2022.5)
    • 国際学会
  • [学会発表] データ駆動予測の最近の展開ー周波数データに基づくV-Tigerを中心としてー2022

    • 著者名/発表者名
      小坂 学
    • 学会等名
      SCI22 (第66回 システム制御情報学会 研究発表講演会)
    • 招待講演
  • [学会発表] 1回の実験データに基づく制御設計V-Tigerの信頼区間解析による制御性能予測2022

    • 著者名/発表者名
      坂本 優樹,小坂 学
    • 学会等名
      第65回 自動制御連合講演会
  • [学会発表] V-Tigerに基づく安定判別と周波数領域近似モデルマッチング2022

    • 著者名/発表者名
      村田 拓真,小坂 学
    • 学会等名
      第65回 自動制御連合講演会

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公開日: 2023-12-25  

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