研究課題/領域番号 |
22K04205
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
木村 康男 東京工科大学, 工学部, 教授 (40312673)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 酸化チタンナノチューブ / 陽極酸化 / ガスセンサ / フォトリソグラフィ / ウェットプロセス |
研究実績の概要 |
本研究では、局所陽極酸化を同一基板上で異なる条件で行うことにより、酸化チタンナノチューブ膜をベースとした特性の異なるマイクロガスセンサの同一基板上への構築を目指している。そのために、セルフアライメント技術に対応した、フォトリソグラフィと陽極酸化技術とを組み合わせた局所陽極酸化技術による作製プロセスの確立及び、電気化学的な触媒金属の担持技術の確立を目指している。 電気化学的な金属触媒の担持において、印加電圧、電流を取得するプログラムを作成し、それを用いて銅(Cu)の堆積を試みた。はじめからアスペクト比の大きな酸化チタンナノチューブ膜に均一に堆積することは困難であるので、まず、表面ラフネスの大きなフッ素ドープ酸化スズ(FTO)基板に0.05M塩化銅中で3mAの電流を15秒印加した結果、Cuが堆積されていることを確認した。液面からの距離によってCuの形状や量が変化しているが、これは電圧降下によるものであると考えられるから、電圧制御による局所的な担持であれば、Cuの堆積を制御可能であると考えられる。 さらに、多孔質構造の均一性において最も古くから陽極酸化によってナノホールアレイを構造が研究されてきたポーラスアルミナを用いて検討を行った。その結果、陽極酸化を行う部分と行わない部分との境界付近において小さいサイズのナノホールの均一性が向上していることが示唆される結果を得た。今後詳細を調査する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
陽極酸化可能なTi薄膜は樹状成長していない緻密で有ることが重要である。このようなTi薄膜を堆積させるために、通常の1Pa程度よりも1桁小さい圧力程度で堆積する必要がある。しかし、令和5年度になって、これまで行ってきた0.3Pa程度においてプラズマが安定せず、DCマグネトロンスパッタを用いての緻密なTi膜の堆積ができなくなり、多少遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマが不安定になる原因は複雑である。また、オーバーホールすることもできない。そこで、令和6年度ではターゲットとシールドリング(グランド)の距離をスペーサで調整することにより、0.3Pa程度で安定してプラズマが生成する条件を探し、緻密なTi薄膜を堆積させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
交換予定であったスパッタ用ターゲット(100千円/個)及びフォトマスク(100千円/個)が年度末まで使用可能であったため購入しなかった。しかし、スパッタ用ターゲットは令和6年度早期に交換を必要とする。また、残りの繰越金は、高速なPCが必要であるナノ構造の均一性に関するSEM画像解析のためにの新規PC及びDCマグネトロンスパッタのターゲット-シールドリング間のスペーサの購入に充て、令和6年度予算と合わせて、物品費739千円(スパッタ用ターゲット(100千円×1個及びPC)を含む)、旅費30千円、人件費・謝金30千円、その他50千円のように使用する予定。
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