研究課題/領域番号 |
22K04323
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
藤川 拓朗 福岡大学, 工学部, 助教 (20609606)
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研究分担者 |
肴倉 宏史 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環領域, 室長 (70331973)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 焼却主灰 / エアテーブル / 比重差選別 / 重金属 / 含有量 / 鉛 / 炭酸化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エアテーブルを用いて焼却主灰中に含まれる鉛の含有量を土壌環境基準値以下まで低減させることであり、焼却主灰を天然資源に代わる土木資材(路盤材や盛土材)として有効活用することを研究の最終目標としている。そのための基盤研究として、研究期間内に以下に示す1)~3)の項目について明らかにするとともにデータの蓄積を行う。 1)鉛の含有量低下に向けた最適な分離効率を得るための条件設定の検討、2)選別された焼却主灰の物理・力学・溶出特性の把握、3) エアテーブル選別と炭酸化処理を併用した焼却主灰の土木資材利用への適用性評価 このうち本年度は、1)について重点的に検討を行う予定であったが、半導体不足の社会情勢により、エアテーブルの納品がかなり遅れたため十分な検討が行えなかった。この点については、次年度も継続して実験を実施することで対応が可能と考えている。 一方で、エアテーブルの納品時期が遅かったことから、先行して2)および3)の検討項目において実施可能なものについて研究を実施した。具体的には、2)については、選別前の焼却主灰の物理・力学・溶出特性の把握を行った。3)については、選別前の焼却主灰を用いて炭酸化処理を行い、炭酸化処理後の焼却主灰の土木資材利用の可能性について検討を行い、下層路盤材として十分な性能を有することを明らかとした。これらの得られた結果は、今後、1)で得られる比重差選別した焼却主灰の結果に対する貴重なベンチマーク試験・基礎データとなると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で使用するエアテーブル(比重差選別機)の納品が、半導体不足によりかなり遅れ、年末・年明けにようやく納品されたことから、そこからようやく研究体制を整えることができた。そのため、検討項目の1つである、1)鉛の含有量低下に向けた最適な分離効率を得るための条件設定の検討については、十分な試験ができていないことからかなり遅れている状況にある。 しかしながら、2)選別された焼却主灰の物理・力学・溶出特性の把握や、3) エアテーブル選別と炭酸化処理を併用した焼却主灰の土木資材利用への適用性評価については、エアテーブルを使用せずとも選別前の特性について実験を進めることが可能であることから、これらについて先行して検討を行った。その結果、ベンチマーク試験として十分な研究成果を得られることができ、次年度以降に1)について重点的に実施することで十分な比較が可能と考えられる。 以上の結果を総合的に勘案し、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度(R4年度)に主に実施する予定であった1)鉛の含有量低下に向けた最適な分離効率を得るための条件設定の検討について、エアテーブルの納品が遅れたことから、十分な検討ができなかったことを踏まえ、研究2年目(R5年度)に重点的に研究を進めていく予定である。ここで得られた結果を用いて、2)選別された焼却主灰の物理・力学・溶出特性の把握についても研究を進めていく予定である。 研究全体の目的や計画についての変更はなく、引き続き研究を遂行していく上でも現時点では特に課題や問題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の目的である焼却主灰の土木資材利用の検討を行うためには、初年度に比重差選別を行うための機器備品(エアテーブル)を購入し、本研究の基盤を整える必要があった。 その結果、後年度以降の研究をより効果的に遂行することができるため、後年度への支障はない。 また、購入予定の比重差選別機器には、架台・投入フィーダーを別途オプションとして購入して取り付けることで試料を一定量・連続的に投入が可能となるが、今回、こちらを購入せずとも代用できるものが研究室で確保できたため、後年度に支障を来すことなく実験を遂行できると考えている。 なお残額については、消耗品の購入や学会参加費(登録費)などに使用する予定である。
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