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2022 年度 実施状況報告書

水銀を指標とした年輪コア中環境汚染史の解明と森林内での動態解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K04380
研究機関富山県立大学

研究代表者

中澤 暦  富山県立大学, 工学部, 講師 (10626576)

研究分担者 永淵 修  福岡工業大学, 付置研究所, 研究員 (30383483)
芳賀 弘和  鳥取大学, 農学部, 准教授 (90432161)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード年輪コア / 屋久島 / 大気中水銀 / 林業集落
研究実績の概要

2022年度は人間活動の営みに着目し、屋久島の年輪コア中水銀濃度の変遷とその起源について検討した。
大気汚染物質が輸送されやすい自由対流圏高度(1,370 m標高) で採取した屋久島のモミ群落の年輪コア中水銀濃度の変遷から(n=30)、2000年代以降では経済成長著しい東アジア大陸からの水銀の長距離輸送の痕跡を見出した。一方、研究代表者らは1950年代にも水銀濃度のピークが見られることを明らかにした。東アジア大陸は文化大革命終結後の1980年代以降に急激に経済発展し、日本国内における硫黄酸化物や窒素酸化物の経年変化にもその変化が見られる。そのため、モミ群落の年輪コア中水銀濃度の1950年代のピークの要因は東アジア大陸由来ではないと考えられる。水銀の大気への放出源の一つとしてバイオマス燃焼が挙げられる。本研究ではこれまで注目されてこなかった、屋久島山中におけるバイオマス燃焼を主とした人間活動の営みに起因する大気汚染に着目する。2023年度は戦前戦後の我が国の木材需要と屋久島島内での林業状況 (屋久島山中での人間活動の営み) との関連について研究を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

022年度は、研究代表者らが、これまでに長期にわたって調査を行ってきた屋久島で採取した年輪コアに含まれる水銀濃度の変遷とその起源を明らかにすることを目標に研究を進めた。さらに、北極圏(アラスカ)において年輪コアの採取も行った。新型コロナウィルス感染症拡大の影響が残る状況であったので、調査や研究打ち合わせを最小限にしつつ、過去採取した試料を用いて検討を行った。
結果、年輪中水銀濃度の変遷を捉えることができ、かつ、今後の方針についての方策を練ることができた。

今後の研究の推進方策

屋久島で採取した年輪コア中水銀濃度の変化から、2000年代の水銀濃度の上昇は東アジア大陸の発展に由来する大気中水銀の長距離輸送の可能性が考えられた。一方、1950年代の水銀濃度の上昇は屋久島島内の林業活動の影響の可能性がある。今後、林業活動跡付近での年輪コアの採取を行うなどして、人間活動と年輪コア中水銀の動態について検討を行う。また、水銀のみならず、鉛安定同位体比を用いた起源解析にも取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の広がりが落ち着きを見せつつあったが、最小限の国内・国外移動とし2022年度は主にこれまでに採取した試料の分析および解析を中心に行った。これまでに採取した試料の解析により、今後の調査の方針を検討することができた。2023年度は各所の許可を得、調査を推進する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] University of Tadurako(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      University of Tadurako
  • [学会発表] Mercury concentrations in tree rings observed at Yakushima island2023

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Oura, Koyomi Nakazawa, Osamu Nagafuchi, Shigejiro Yoshida, Kenshi Tetsuka, Seiichi Kanetani
    • 学会等名
      Japan Geophysical Union
  • [学会発表] 2022年1月に昭和基地で観測された大気中水銀濃度の変動2023

    • 著者名/発表者名
      中澤 暦、永淵 修、伊村 智、渡辺 朋亮、三ツ井 亮洸
    • 学会等名
      Japan Geophysical Union
  • [学会発表] Time-series variations for Gaseous Elemental Mercury (GEM) from northern Pacific to the Arctic Ocean in the Summer to early Autumn of 20222023

    • 著者名/発表者名
      Osamu Nagafuchi, Koyomi Nakazawa, Kazuki Oura, Ken’ichi Shinozuka, Tetsuo Sueyoshi, Masanobu Yamamoto, Tomoaki Watanabe, Akihiro Mitsui
    • 学会等名
      Japan Geophysical Union
  • [学会発表] Human health risk assessment of mercury vapor around ASGM area -perspective from field measurement,2022

    • 著者名/発表者名
      Koyomi Nakazawa, Osamu Nagafuchi.
    • 学会等名
      Partner Events of Eco Balance, Mercury Legacy in Artisanal and small-scale gold mining
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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