研究課題/領域番号 |
22K04721
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荘司 郁夫 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00323329)
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研究分担者 |
小林 竜也 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00847486)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | パワーデバイス / 複合めっき / 熱応力 / セルロースナノファイバ / 接合 |
研究実績の概要 |
Ni-CNF複合電解膜の作製を目的として、TEMPO酸化CNFおよびCMC(カルボキシメチルセルロース)粉体をNiめっき浴(ワット浴)に1g/L添加しためっき浴を建浴した。電解めっき法により、Cu板上に複合電解膜を作製したところ、TEMPO酸化CNFでは数%程度のCNF含有率であったが、CMCでは40%程度の高い含有率が得られた。ビッカース硬度測定結果より、Niめっき自身の硬度の239HVに対し、TEMPO酸化CNF添加材は409HV、CMC添加材は434HVとなり、硬度の上昇が確認された。 Ni-CNF複合電解膜については、無電解めっき法についても検討を行った。無電解めっき法では、界面活性剤としてSDS(ラウリル硫酸ナトリウム)を25mg/L添加し、TEMPO酸化CNFおよびCMCの添加量は5g/Lとした。作製した複合電解膜におけるCNFの含有量は、TEMPO酸化CNFでは約9%、CMCでは約2%となった。また、SDSの添加はCNFを微細に分散させる効果があることが明らかとなった。ビッカース硬さは、無電解めっき(Ni-8P)の約400HVに対して、TEMPO酸化CNF添加材は約500HV、CMC添加材は約420HVとなり、硬度の上昇が確認された。SDS添加の硬度上昇への影響は小さかった。 メタルコアはんだクラッドシートとして、電気めっき法を用いたAl粒子含有Znめっき膜を作製し、評価を行った。めっき膜の断面組織観察より、Znめっき膜中に Al粒子が分散していることを確認した。また、示差走査熱量測定より、Al粒子含有ZnめっきはZnの融点および Zn-Alの共晶温度付近で融解することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、CNF分散Niめっき浴の建浴およびCu板上への電解膜の創製を実施することができ、電解めっき法でも無電解めっき法でもNi-CNF複合電解膜を得ることができた。また、複合の効果を硬さ上昇で検証することができた。 メタルコアはんだクラッドシートについても、Al粒子含有Zn膜の作製に取り組み、Znめっき中へのAl粒子の取込を確認し、熱分析測定よりZn-Alの共晶温度での融解が生じることを確認することができ、ほぼ計画通り進行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、Ni-CNF複合電解膜の更なる改良を実施する。複合化を容易にするCNF表面のコーティング処理などを検討する予定である。また、電子実装用電極材への応用を目指して鉛フリーはんだとの界面反応、複合電解膜の残留応力などを調査する予定である。さらに、提案書で計画したAgナノ粒子を用いた焼結接合体の作製にも取り組む。 メタルコアはんだクラッドシートについては、継続して研究を行い、接合材となりうる均一なシートの作製を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、めっき部材の消耗品の入手が困難になった部材があった。次年度の助成金と合わせて、購入する計画である。
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