研究実績の概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の高温作動及び高温製造プロセスは、構成材料の劣化進行と材料の選択を著しく制限するため、その解決策の1つとしてアノード及びカソードの両方に適用する新規材料の開発が挙げられる。また、多様な燃料を直接利用可能というSOFCの特徴を活かすためには、炭化水素燃料供給時の炭素析出による燃料極(アノード)の劣化防止も重要課題である。 本研究では、SOFCの電極に適用でき、かつイオン・電子混合導電性を持つ上、高温のみならず中温においても優れた機能が期待できるペロブスカイト型酸化物アノード開発のため、前年度の研究成果をもとに、①異なるMoドープ量のペロブスカイト型酸化物Pr0.4Sr0.6(Co0.2Fe0.8)1-xMoxO3-σ (PSCFMx, x = 0, 0.05, 0.1 and 0.2)を調整し、Bサイト元素(Mo)量の組み合わせによって、PSCFM0.05の酸化還元雰囲気でもっとも高い化学的安定性を持つことと、導電性も比較的に高い等の特性を確認した上で、対称電極型SOFCセル(PSCFM/LSGM/PSCFM)を用いたH2とCH4燃料での発電特性を調べた。②ペロブスカイト型酸化物PrxSr0.6Co0.2Fe0.7Nb0.1O3-σ(PxSCFN, x = 0.36, 0.38, 0.40, 0.42 と0.44)を調製し、Aサイトイオン(Pr)が活性点であることを考慮して、Aサイト元素(Pr)量のPSCFM 物性(導電率、酸素欠損、熱膨張係数など)への影響を検討し、更に裏付けデータの蓄積を行うことで新たな指針を確立した他、炭素析出抑制性に関する知見を深め、更なる高性能・高機能化を図るための指針を得た。
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