研究実績の概要 |
2023年度は、Paraburkholderia terrae KU-15株の4-アミノ安息香酸分解機構の解明を試みた。具体的には、4-ニトロ安息香酸分解経路の初発酵素遺伝子(pnbA, 4-nitrobenzoate nitroreductase遺伝子)と2段階目の遺伝子 (pnbB, 4-hydroxylaminobenzoate lyase遺伝子)間の約9-kbの領域内に見出されたpabクラスター(pabB1AB2B3C)が、4-アミノ安息香酸分解遺伝子群であると推定し、その機能を実験的に解析することで分解機構を解析した。まず、RT-PCRによりpabクラスターが4-アミノ安息香酸によって誘導発現すること、オペロン(pabオペロン)を形成していることを明らかにした。次にKU-15株のpab遺伝子欠損解析によりpabオペロンが4-アミノ安息香酸の分解に必須であることを示した。さらに、pab遺伝子の大腸菌異種発現によりpabオペロンが4-アミノ安息香酸の分解に直接関与することを明らかにした。これらの解析を通じ、経路の第一段階はグルタミン合成酵素様PabAによるγ-グルタミル中間体(γ-グルタミル-4-カルボキシアニリド)の生成であり、続いてγ-グルタミル-4-カルボキシアニリドがマルチコンポーネント型芳香環ジオキシゲナーゼPabB1B2B3により水酸化されることを示した。また、γ-グルタミル-4-カルボキシアニリドが水酸化された化合物は自発的にプロトカテク酸へ変換することを示唆する結果を得た。PabCはγ-グルタミル-4-カルボキシアニリドを加水分解して4-アミノ安息香酸とグルタミン酸に加水分解する酵素であり、γ-グルタミル-4-カルボキシアニリドが過剰に蓄積することを防いでいることが示唆された。最後にPabA, PabB1B2B3, PabCの特性を解明した。
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