研究課題/領域番号 |
22K05578
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松平 洋明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (90549247)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | テンサイ / 種子 / 胚数性 |
研究実績の概要 |
令和5年度は,二胚種子率に関するQTL-seq解析を実施した。二胚性系統(着生する種子に単胚性種子と二胚性種子が混在)と単胚性系統(ほぼ単胚性種子を着生)のF2分離集団(123個体)について、種子の形態を調査した。その結果、二胚種子率は0%から93%まで、ほぼ連続的に分離することがわかった。そこで、二胚種子率が低い(0%~6%)20個体、および二胚種子率が高い(54%~93%)20個体(二胚性バルク)のDNAをそれぞれ等量ずつバルク化し、次世代シーケンサーによるゲノムシーケンスを行い、QTL-seq解析を行った。その結果、ΔSNP-indexが有意に高いゲノム領域を1か所(もしくは近接する2か所)見出した。 この領域は、既存の多胚性遺伝子Mが座上する第4染色体ではなく、第1染色体上に含まれることが分かった。 このことから、二胚性は、Mの複対立遺伝子によって発現するのではなく、Mとは異なる染色体に座乗する遺伝因子によって発現する形質であることが明らかとなった。本領域は約4 Mbpと広く、遺伝子数は280個と推定されている。次年度は、QTL解析等により同領域の絞り込みを試みる必要がある。 一方、この領域には、多胚性・単胚性系統の花序先端RNA-seqの比較から発現量が有意に異なる遺伝子が2個含まれることが分かった。これらは植物ホルモン代謝に関わる遺伝子に相同であり、これらの植物ホルモンと胚数性には何らかの関係があるのかもしれない。今後、さらなる解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二胚性にかかわるゲノム領域をQTL-seq解析で特定でき、それが既存の多胚性遺伝子とは異なるゲノム領域であることがわかったことから、おおむね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
二胚性遺伝子座候補領域はQTL解析等により絞り込みを行う。また複数の単胚性系統と二胚性系統を用い、本領域のゲノム構造の比較等を行う。また、二胚性に関連する分子マーカーを作出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度でQTL-seq解析に供する十分なF2個体数を確保でき、実験を遂行できたところであり、この結果を踏まえて研究を発展させるための実験を次年度に実施するため。
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