研究課題/領域番号 |
22K05877
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
高梨子 文恵 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (60547214)
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研究分担者 |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
坂田 正三 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (90450519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ベトナム / 産地 / 都市化 / 近代化 / 農業 |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度での検討内容を踏まえ、Hanoi市近郊に位置する伝統的な花卉産地であるTay Tuu社(Bac Thang Long区)とMe Linh社(Me Linh県)、Van Giang社(Hung Yen省Van Giang県)を事例に、主に都市化・流通近代化と産地・農業経営への影響を明らかにするため、共同で現地調査を行った。 この調査では、①都市化・要素市場との関連では、種苗、苗、資材等の輸入を代行したり、大規模に卸売を行う企業の展開が周辺で見られること、都市化で農地が狭隘化する中で、人民委員会は団地化することで農地を維持しようとしており、基盤整備が行われることで農業生産が維持されていることが確認できた。また、②野菜と比較して花卉の流通は、全体の流通量は拡大していると考えらえれるが、(少なくとも今回調査した産地では)近代的な流通資本の参入は確認できず、流通経路は伝統的な形態を維持していることが確認できた。さらに、③特にMe Linh社では農業者の自主的な農会が組織され、幅広い世代の農業者が情報交換を行い、Me Linh花卉ブランドを共有、維持拡大に努めていることが確認できた。産地で農業生産の維持が行われる一方、生産者は積極的に他地域への投資(出作)を行っており、それによって生産技術の継承、生産量の確保とそれによる顧客の維持等が行われている。 調査前(2023年8月)、調査後(2023年12月)に全体で研究会を行い、2024年度以降の調査・研究の方向性について意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査は概ね順調に進んでおり、データは得られているが、成果の公表が遅れている。また、 都市近郊地域の農業・農村部の変容については調査が進んでいるが、必ずしも食品小売業の近代化と結びつかない動きも確認できているため、今後の研究の方向性を再検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度の共同現地調査で得た結果を論文化することを最優先に行う。 また、前回の調査で訪問したMe Linh社で追加調査を行うとともに、Me Linh社から出作を多く受け入れている、北部山岳地域のLao Cai省で調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者がベトナムに赴任になったため、旅費の一部が必要なくなった。 2024年度学会発表を予定しており、予算に計上していなかったため、2023年度予算から支出することにした。
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