研究課題/領域番号 |
22K05942
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
浅井 英利 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (30599064)
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研究分担者 |
川村 健介 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90523746)
AungZawOo 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (90909772)
池浦 弘 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 主任研究員 (40601430)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 黒米 / クロロフィル蛍光 / ストレス耐性 |
研究実績の概要 |
昨年度の日本産黒米「朝紫」の調査から、リン欠乏ストレス条件下では、最上位展開葉の最大量子収率(FV/FM)が有意に低下する傾向が認められた。一方で、乾燥ストレスおよび塩害ストレス条件下では、最上位展開葉でのFV/FMの低下は認められず、下位葉において、FV/FMの低下が認められた。ただし、温室内で栽培したラオス産黒米「H50」の調査では、ストレス区だけでなく、非ストレス区においてもFV/FMが低くなることが認められたことから、高温条件下においてクロロフィル蛍光の計測を実施したことが関係していると推察された。 そこで、屋外において塩ストレスおよび乾燥ストレス処理を設けたポット試験を実施した。本試験には、「H50」を含むラオス産黒米5品種および白米5品種を供試した。これらの品種は、日長感応性が強く、日本では11月頃に出穂するため、本試験では播種後60日目までの栄養成長期に焦点を当てて、クロロフィル蛍光の計測を実施した。クロロフィル蛍光の計測結果を解析したところ、乾燥ストレスおよび塩ストレス試験ともに、FV/FMは最上位展開葉ではストレス区と非ストレス区で有意な差はなく、下位葉で有意な差が得られたことから、初年度の結果を再確認することができた。一方で、品種間差については、有意差は認められなかったが、塩ストレス区および乾燥ストレス区におけるFV/FMの低下は黒米よりも白米で大きくなる傾向が認められ、黒米はストレス条件下において光合成活性を高く維持していることが示唆された。また測定誤差が大きいため、黒米5系統間での有意な品種間差は認められず、「H50」の優位性をクロロフィル蛍光の観点から示すことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高温条件下での計測を避けるため、朝紫同様に、屋外でのポット試験においてクロロフィル蛍光の計測を実施することとし、初期生育に焦点を絞りクロロフィル蛍光の計測を実施した。供試品種数を増やし、「H50」を含む黒米5系統、白米5系統を用いてクロロフィル蛍光を実施したものの、処理間差(ストレス区対非ストレス区)は検出できた一方で、品種間差については、傾向は認められたものの、うまく検出することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
統計的な有意差が検出てきなかった要因の1つとして、測定誤差が大きかったことが原因と考えられた。そこで、今年度の試験では、クロロフィル蛍光の計測プロトコルを改変し、測定精度の向上を図ることとした
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次年度使用額が生じた理由 |
現在作成中の論文の英文校閲費として使用する予定であったが、作成が遅れているため、次年度に実施することとした。
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