今後の研究の推進方策 |
薬物代謝機能に関しては、現在はテストステロンを用いてCYP活性の有無を検討しているが、その後、アセトアミノフェン、ミタゾラムなどの薬物を人工肝に添加し、動態を検討する。採取的に、平面培養の犬肝細胞のみならず、スフェロイド、さらに、スフェロイドを3Dプリンターで積層して作成する犬人工肝におけるにおける薬物を投与する際に必須となる薬物代謝評価系を確立する基盤技術を構築したい。 3Dプリンターで積層するために最適なスフェロイドロイドを作製し、さらに長期間人工肝が生存を維持するためには、 肝細胞周囲組織との共培養および酸素の供給やアポトーシスの抑制が有効と考えられる。次年度は、犬の肝細胞を生体から得る方法を構築する予定である。肝臓の中には、組織幹細胞を含むと考えられている肝内胆管細胞や、肝細胞を用いて肝細胞周囲組織と共培養して生体外肝に最適なスフェロイドを作製する。これらのスフェロイドに関しては、細胞内ATPレベルを測定して生存率の指標とし、肝細胞のアルブミン発現量を定量的PCRで評価し、長期生存に最適な環境を検討する。人工肝臓の性状は、組織学的評価(光学顕微鏡、電子顕微鏡)に加えて、肝細胞特異的マーカー(AFP, アルブミン, HNf4a, CK18, CK19)と犬で報告されているCYP3A12, CYP2E1を含めて9つのCYP450s(Shou et al., 2003)発現を遺伝子およびタンパクレベルで詳細に解析することで肝細胞の性状を確認する。
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