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2023 年度 実施状況報告書

分泌制御関連因子CAPSに依存したエキソサイトーシスの促進制御とその障害

研究課題

研究課題/領域番号 22K06447
研究機関東京理科大学

研究代表者

古市 貞一  東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 教授 (50219094)

研究分担者 篠田 陽  東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (80403096)
定方 哲史  群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90391961)
前澤 創  東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 准教授 (90548174)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードCAPS2/CADPS2 / 分泌小胞 / エキソサイトーシス / 膵腺房細胞 / 慢性膵炎 / 中脳被蓋野 / 中脳黒質緻密部 / ドーパミン
研究実績の概要

神経系をはじめとした多くの組織では、情報伝達物質や機能性ペプチドの分泌制御を介して、細胞間の特異的なシグナル伝達や組織機能の発現が行われている。本研究では、分泌小胞のエキソサイトーシスの制御因子であるCAPS2/Cadps2タンパク質に着目して、神経細胞/神経内分泌細胞/膵内外泌細胞におけるシナプス小胞/有芯小胞のエキソサイトーシス制御とその欠損で発症する機能障害や病態との関連を明らかにすることを目的としている。
前年度、CAPS2が膵臓において消化酵素アミラーゼを含有する分泌顆粒の開口放出に関与することを示し、CAPS2 KOマウスにおけるヒト慢性膵炎様の膵外分泌障害の病態を明らかにした。今年度は、CAPS2欠損が起因して起こる慢性膵炎様の病態の発症機序を分子レベルで明らかにするため、KOマウスと野生型マウスの比較RNA-seq解析を実施した。その結果、CAPS2欠損によって発現変動する遺伝子群の同定に成功し、クラスタリング、オントロジーやパスウェイなどの解析によって、病態に関連すると推定される分泌制御関連の遺伝子の他に、病態に関連すると考えられるオルガネラ-小胞輸送関連、細胞死関連、免疫炎症関連の遺伝子ネットワークが体系的に明らかになった。
精神機能や運動機能の制御にはたらくドーパミンは、シナプス小胞と有芯小胞によってシナプス部やシナプス外部(細胞体や樹状突起など)から分泌される特徴をもつ神経伝達物質である。今年度は、マウス中脳の腹側被蓋野と黒質緻密部におけるドーパミンの分泌制御におけるCAPS2の関与について解析した。CAPS2 KOマウスと野生型マウスから調整した初代培養ドーパミンニューロンにおけるタイムラプス蛍光イメージング解析によって、でCAPS2がドーパミン分泌動態に関与することを中枢神経系のニューロンで初めて実証できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、慢性膵炎様の病態を発症するCAPS2 KOマウスの膵臓におけるトランスクリプトームの特徴、およびCAPS2によって制御される中脳ドーパミン分泌の動態に関して明らかにした。これらの研究成果は、学術雑誌に発表する準備が研究と並行して進行中である。さらに、CAPS2が分泌を制御すると考えられる神経ペプチド・オキシトシン(OXT)について、OXT産生細胞である視床下部・室傍核から乳頭体上核への投射経路がマウスの物体認識記憶に関与することを明らかにした共同研究に貢献し、共著論文を発表することができた。以上のことから、順調に研究が進展していると考える。

今後の研究の推進方策

CAPS2遺伝子の欠損が引き起こす膵炎様病態に関連する遺伝子発現を明らかにするため、2023年度にKOマウスと野生型マウスの膵臓におけるRNA-Seqによる比較トランスクリプトーム解析を行った。その結果、CAPS2遺伝子欠損によって発症する病態に関連すると考えられる遺伝子群の発現変動が同定され、2024年度はこれらをさらにバイオインフォマティクス解析することで、CAPS2欠損によって発症する膵炎様の病態発症の分子機序が明らかにして、論文発表を目指す。
また、中脳ドーパミン産生細胞におけるCAPS2依存的なドーパミン分泌小胞のエキソサイトーシスが明らかとなった。これまで、培養細胞株などでは報告があるが、中枢神経系のニューロンにおけるカテコールアミンの分泌動態を実証した例はなく、論文投稿に向けての最終実験および論文作成を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度はRNA-seq解析とマウス飼育に必要な支出以外に、他の実験はすでにある物品を利用することができたために支出を抑えることができた。また、得られた実験データのインフォマティクスとイメージングのデータ解析では必要な経費が発生しなかった。このため、2023年度の残額は、2024年度に予定しているこれらの研究成果によって検証が必要となった新たな実験の経費、および研究成果を発表するための論文投稿・出版の経費に回すこととした。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Oxytocinergic projection from the hypothalamus to supramammillary nucleus drives recognition memory in mice2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Junpei、Yamada Daisuke、Nagano Wakana、Sano Yoshitake、Furuichi Teiichi、Saitoh Akiyoshi
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 18 ページ: e0294113

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0294113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 内因性オキシトシンは学習・記憶を調節している2023

    • 著者名/発表者名
      高橋純平、長野和佳菜、山田大輔、佐野良威、古市貞一、斎藤顕宜
    • 学会等名
      日本神経科学学会
  • [学会発表] オキシトシンは、マウスのスコポラミンによる学習・記憶障害を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      長野和佳菜、高橋純平、山田大輔、佐野良威、古市貞一、斎藤顕宜
    • 学会等名
      日本神経科学学会
  • [備考] CAPS2/Cadps2の欠損は、マウスにおいて膵臓外分泌細胞の損傷と分泌顆粒の細胞内集積を誘導する

    • URL

      http://www.lmn.bs.noda.tus.ac.jp/recent-achievement-2-1

  • [備考] CAPS2 KO Leads to Exocrine Pancreatic Cell Injury

    • URL

      http://www.lmn.bs.noda.tus.ac.jp/recent-achievement-2

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公開日: 2024-12-25  

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