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2023 年度 実施状況報告書

去勢抵抗性前立腺癌に対するアビラテロンとデュタステリド併用療法の新規評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K06571
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

竹山 志朱代 (堀山志朱代)  武庫川女子大学, 薬学部, 講師 (80411982)

研究分担者 萩中 淳  武庫川女子大学, バイオサイエンス研究所, 教授 (20164759)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード去勢抵抗性前立腺癌 / 二剤併用治療 / LC-MS/MS分析
研究実績の概要

2023年度は、主に未知代謝物の構造決定及び、その代謝経路の検討を行った。代謝経路は、合成した新規代謝物を細胞実験、ヒト肝細胞から抽出したS9分画及びマウスそれぞれに投与し、その生成物をLC-MS/MS法により解析した。生成物の解析結果から、ステロール骨格の1位に二重結合を有する新規代謝物Δ1-5β-abirateroneは、予想していた3-keto-5β-abirateroneへの代謝を確認するとともに3-keto-5α-abirateroneへの代謝も確認された。この結果は、ステロール骨格の1位および4位に二重結合を有する代謝物の存在が推察され、新たな代謝経路の可能性が示唆された。 この代謝経路を明らかにする目的で、予想される構造を有する化合物を合成するとともに、Δ1-5β-abirateroneの追加合成を行い、酵素および動物実験を行う予定である。
新規代謝物の構造決定と代謝経路については、「Identification of novel metabolites of abiraterone in human serum and their metabolic pathways」 Analytical Sciences, 40, 67-74 (2024) に報告した。学会発表としては、2023年度第71回質量分析総合討論会(大阪、2023年5月)「ヒト血清中のアビラテロン未知代謝物の構造解析」、2023年度第30回クロマトグラフィーシンポジウム(岐阜、6月)「Abirateroneおよびその代謝物のモノメリックおよびポリメリックC18固定相における分離機構の考察」、第34回クロマトグラフィー科学会議(福岡、10月)「Abirateroneおよびその代謝物の逆相固定相における分離機構の考察」 、第73回日本薬学会関西支部大会、(神戸、10月「ヒト血清中アビラテロンの未知代謝物の同定と合成」、2023年度 3rd International BMS Symposium(京都、2023年10月)「Identification of unknown metabolites of abiraterone in human serum」、2023年度 日本薬学会144年会(横浜、2024年3月29-31日)「アビラテロンの新規代謝物の合成研究」として報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度はアビラテロンとデュダステリド二剤併用治療時における、未知代謝物の構造解析から予想された構造をもつ代謝物を合成し、新規代謝物として同定した。2023年度はその合成化合物を用いてその代謝経路を明らかにするための実験を行った。細胞実験において、代謝生成物の分析結果では再現性を得るのが困難であった。そのため、ヒト肝細胞から抽出したS9分画を用いた実験に変更し、酵素反応条件の検討を行い、反応生成物のLC-MS/MS測定結果を比較することで、再現性よく得られる条件を求めることができた。さらに、その推定された代謝経路を確認する目的で、次に、動物実験を試みた。動物実験の条件検討はまだ改善の余地があるものの、採血から得られた血清を用いた代謝実験も行うことができた。

今後の研究の推進方策

2023年度は新規代謝物の構造決定およびその新たな代謝経路の解明を進めてきた。今後は、患者血清中のアビラテロン及びその代謝物の簡便かつ特異性の高い定量法の確立及び、前処理法のオンライン化を目指して、疑似鋳型分子としてメチル化アビラテロンを用いて合成した分子認識カラムMIPを用いたカラムスイッチングについて検討を行う。2022年度にはすでに、アビラテロン及びその代謝物をMIPカラムに保持するための保持時間と、MIPカラムから分析用カラムへ代謝物群を移動させるための、スイッチング時間及び溶媒条件を検討しており、基本的データは得られている。この条件を基に、市販の血清を用いて、アビラテロン及びその代表的な代謝物を用いたバリデーション等を行う。また、分子組成が同じ異性体の場合、その分離が重要になるため、異性体の分離効率の良いカラムも検討する予定である。
また、まだ確定できていない、新規代謝物の代謝経路については、動物実験等に必要な量の新規代謝物の合成を試み、代謝実験を継続する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度、細胞実験では代謝反応の再現性に問題があり、肝細胞からのS9分画を利用した実験を試み、さらに動物実験を実行した。そのため、細胞培養の継代に必要な消耗品の維持費が低く抑えられた。また、S9の実験では以前に購入し、低温で保管していた試薬を用いることができたので、支出が抑えられた。動物実験では、1つの新規化合物の量が得られず、動物実験に至ることができていない。そのため動物購入費用が低く抑えられた。合成については、試薬の費用が予定より安価となった。 次年度は、カラムスイッチングのための条件検討、実際に市販の血清を用いたスイッチング条件に適用するための条件を検討するため、消耗するカラムの購入を予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Identification of novel metabolites of abiraterone in human serum and their metabolic pathways2023

    • 著者名/発表者名
      Horiyama Shizuyo、Hayama Noboru、Yoneyama Hiroki、Usami Yoshihide、Haginaka Jun
    • 雑誌名

      Analytical Sciences

      巻: 40 ページ: 67~74

    • DOI

      10.1007/s44211-023-00431-4

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト血清中のアビラテロン未知代謝物の構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      堀山志朱代、葉山登、米山弘樹、宇佐美吉英、萩中 淳
    • 学会等名
      第71回質量分析総合討論会(大阪、5月)
  • [学会発表] Abirateroneおよびその代謝物のモノメリックC18固定相における分離機構の計算科学的考察2023

    • 著者名/発表者名
      本田千恵、堀山志朱代, 葉山登、花井俊彦、萩中淳
    • 学会等名
      第30回クロマトグラフィーシンポジウム(岐阜、6月)
  • [学会発表] Abirateroneおよびその代謝物のモノメリックおよびポリメリックC18固定相における分離機構の考察2023

    • 著者名/発表者名
      本田千恵、堀山志朱代, 葉山登、花井俊彦、萩中淳
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会(熊本、9月)
  • [学会発表] Abirateroneおよびその代謝物の逆相固定相における分離機構の考察2023

    • 著者名/発表者名
      本田千恵、堀山志朱代、葉山登、花井俊彦、萩中淳
    • 学会等名
      第34回クロマトグラフィー科学会議(福岡、10月)
  • [学会発表] ヒト血清中アビラテロンの未知代謝物の同定と合成2023

    • 著者名/発表者名
      西由紀菜、葉山登、堀山志朱代、矢田麻奈衣、米山弘樹、萩中淳、宇佐美吉英
    • 学会等名
      第73回日本薬学会関西支部大会(神戸、10月)
  • [学会発表] Identification of unknown metabolites of abiraterone in human serum2023

    • 著者名/発表者名
      Shizuyo Horiyama, Noboru Hayama, Hiroki Yoneyama, Yoshihide Usami, Jun Haginaka
    • 学会等名
      3rd International BMS Symposium (京都、10月)
    • 国際学会
  • [学会発表] アビラテロンの新規代謝物の合成研究2023

    • 著者名/発表者名
      東田隆志、葉山登、西由紀菜、堀山志朱代、米山弘樹、萩中淳、宇佐美吉英
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜、3月)

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公開日: 2024-12-25  

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