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2023 年度 実施状況報告書

4-HPRを用いた汎用性の広い抗ウイルス剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K06619
研究機関宮崎大学

研究代表者

林 康広  宮崎大学, 農学部, 准教授 (70582857)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードSARS-CoV-2 / 4-HPR
研究実績の概要

私達はウイルスと宿主細胞の膜融合を安全かつ迅速に測定できるCell-Cell fusionアッセイを用いて新型コロナウイルスSARS-CoV-2 感染を抑制する脂質代謝酵素の阻害剤をスクリーニングした。その結果、脂質代謝酵素ジヒドロセラミドデサチュラーゼ (DEGS1)の阻害剤 N-(4Hydroxyphenyl)retinamide (4-HPR、別名フェンレチニド) が SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質を介した膜融合を抑制することを見出した (Hayashi et al.,
Journal of Virology, 2021)。
令和5年度は、4-HPRによるSARS-CoV-2感染の抑制メカニズムをさらに明らかにした。光退色後蛍光回復法 (FRAP: Fluorescence Recovery After Photobleaching) を用いた細胞膜流動性解析を行った。CHO-K1細胞に対して、細胞膜を蛍光標識できるGPI-HaloTagタンパク質、あるいはウイルスと結合する受容体である ACE2 の GFP 融合タンパク質を一過性に遺伝子発現させた。次に、4-HPR処理による膜流動性の変化を計測した。その結果、4-HPR処理細胞において有意な膜流動性の低下を確認した。また4-HPRによる、スパイクタンパク質を介した細胞膜融合の抑制は、ビタミンE (トコフェロール) で解除できることを見出していたことから、トコフェロールを4-HPR処理細胞に添加しFRAP計測を行ったところ、未処理細胞と同等のレベルまで膜流動性が回復した。以上のことから、4-HPRは活性酸素の産生を介して細胞膜の流動性低下を惹起することで、SARS-CoV-2感染の抑制を促していることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度の目標であった4-HPRによるSARS-CoV-2感染の抑制機構を明らかにしたため。

今後の研究の推進方策

SARS-CoV-2感染を抑制する化合物を引き続き探索し、シード化合物を発見する。

次年度使用額が生じた理由

研究室が改修工事のため研究活動に制限が出たため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Reactive oxygen species are associated with the inhibitory effect of <i>N</i>-(4-hydroxyphenyl)-retinamide on the entry of the severe acute respiratory syndrome-coronavirus 22023

    • 著者名/発表者名
      Hayashi Yasuhiro、Huang Xuhao、Tanikawa Takashi、Tanigawa Kazunari、Yamamoto Mizuki、Gohda Jin、Inoue Jun-ichiro、Fukase Koichi、Kabayama Kazuya
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 173 ページ: 337~342

    • DOI

      10.1093/jb/mvad020

    • 査読あり
  • [学会発表] N-(4-hydroxyphenyl) retinamideは細胞膜の流動性低下を 惹起することでSARS-CoV-2 感染を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      林 康広、黄 栩昊、土屋 亮人、松田幸樹、山本 瑞生、合田 仁、 井上 純一郎、深瀬 浩一 、前田 賢次、山下 純、樺山 一哉
    • 学会等名
      第45回 蛋白質と酵素の構造と機能に関する九州シンポジウム

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公開日: 2024-12-25  

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