研究課題/領域番号 |
22K06750
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (40453518)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / 絨毛外栄養膜細胞 / 子宮螺旋動脈 / 血管内皮細胞 / 浸潤 |
研究実績の概要 |
昨年度までの解析により、ヒト絨毛外栄養膜細胞であるHTR8/SVneo細胞と、ヒト血管内皮細胞であるHUEhT-1細胞との共培養により、栄養膜細胞の浸潤促進が確認された。浸潤が促進した条件において、走化性および増殖能に差がないことがさらに観察された。このため、浸潤促進には、細胞学マトリクスと細胞の相互作用の変化が関与していることが示された。そこで両細胞よりtotal RNAを抽出し、RNA-seqにより両細胞の間で、浸潤を促進する因子の探索を行なった。RNA-seqで得られた遺伝子発現量およびその変動に対し、Gene ontology解析を行った結果、細胞外基質分解酵素の一部に栄養膜細胞が内皮細胞指向性の浸潤を担う因子の候補が見出された。これらの候補の遺伝子群より、ヒト絨毛外栄養膜細胞での遺伝子発現量および文献報告を考慮して、数十の候補遺伝子を抽出し、関与分子の同定候補とした。この、ヒト絨毛外栄養膜細胞とヒト血管内皮細胞の相互作用に関わる遺伝子候補に対して、低分子化合物での阻害剤あるいはsiRNAにより、各遺伝子の機能抑制条件を設定し、ヒト絨毛外栄養膜細胞の浸潤試験において、関与遺伝子のスクリーニングを行った。低分子化合物のうち、2価金属イオンのキレート剤であるEDTAは、もっとも顕著に浸潤を抑制したため、2価金属イオン要求性の機構論が推定された。またその他の阻害剤試験の結果として、大部分の遺伝子の関与は否定された一方で、関与が推定される2遺伝子が選定された。これらの遺伝子は、ヒト絨毛外栄養膜細胞と、ヒト血管内皮細胞の相互作用において、重要である可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗は、研究の計画に対して概ね順調に進展している。ヒト絨毛外栄養膜細胞と、ヒト血管内皮細胞の相互作用を司る分子のスクリーニングまでは完了したので、今後は同定およびその役割を解明する。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト絨毛外栄養膜細胞と、ヒト血管内皮細胞の相互作用において、重要である可能性が高い候補遺伝子の選定が完了した。今後は、再現性および多様な角度からの証明であり、特に絨毛外栄養膜細胞におけるタンパク発現量と、siRNAを添加した場合の浸潤低下とその条件におけるタンパク発現量低下の確認が必要である。また、同定した分子においては、ラットにおいても免疫染色等により、絨毛外栄養膜細胞での発現や子宮内分布を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね順調に推移している。研究機関の異動が決定したため、消耗品類のうち購入を次年度に延期可能なものについては、延期したため、次年度使用額が生じているが、最終年度である次年度で当初の計画通りすべて執行する予定である。
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