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2023 年度 実施状況報告書

新型コロナウィルス感染拡大が服薬遵守および中断に与える影響とその予後

研究課題

研究課題/領域番号 22K06759
研究機関福岡大学

研究代表者

今任 拓也  福岡大学, 薬学部, 講師 (20368989)

研究分担者 馬場園 明  九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
西 巧  福岡県保健環境研究所, その他部局等, 研究員 (20760739)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード薬剤疫学 / 服薬アドヒアランス / COVID-19 / レセプトデータ
研究実績の概要

今年度はまず、前年度に実施した2020年4-5月期の処方件数の変化量の絶対値が大きかった薬剤として、DDP阻害薬に着目した。後期高齢者のレセプトデータを用い、2019年および緊急事態宣言期間を含む2020年の3月~5月末までの3ヶ月およびその3か月前の2019年12月~2020年2月末までの3ヶ月間の服薬遵守および薬物治療の中断割合を算出し、前年度に実施したITS分析による薬剤の処方量の減少が緊急事態宣言による服薬遵守への影響かどうかを検討した。服薬遵守の指標には、調査対象期間(3ヶ月)に対する実際の投与総日数の比であるMedication possession ratio(MPR)を用いた。また、治療の中断は、服薬予定日(処方年月日+処方数)から次の処方日まで30日以上開いた場合とした。その結果、DPP4阻害薬では、2019年12月~2020年2月の間にDPP4阻害薬が処方されていた者は57854名、緊急事態宣言期間を含む2020年3月~2020年5月にDPP4阻害薬が処方されていた者は55539名と若干減少していた。また、この2つの期間にDPP4阻害薬が処方されていた者は54801名で、そのうち、MPRが80%以下を服薬アドヒアランス不良とすると、2018年12月~2019年2月の間のMPRが80%以上で、2019年3月~2019年5月に80%以下になった者は、1327名(2.1%)だったのに対し、2019年12月~2020年2月の間のMPRが80%以上で、緊急事態宣言期間を含む2020年3月~2020年5月にMPRが80%以下になった者は、891名(1.71%)であった。また、年齢および性別を服薬アドヒアランスが良好だった者と比較したところ、大きな違いは認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和5年度は緊急事態宣言の服薬アドヒアランスへの影響についての解析を行った。また、緊急事態宣言期間に服薬アドヒアランスが不良となった者の要因について検討を行ったが、指標となる変数の作成が終了してやや遅れている。しかしながら、令和6年度も緊急事態宣言時に服薬アドヒアランスが不良だった者の予後について検討するため、要因を交絡因子として検討する必要がある。よって、令和6年度も引き続き、変数を作成することで、遅れを取り戻すとともに、DPP4阻害薬のみでしか検討を実施していないため、他の薬剤についても引き続き、令和6年度の計画に並行して検討を行う予定である。

今後の研究の推進方策

令和5年度は、ITS分析において、2019年に比べて、緊急事態宣言期間を含む2020年3月~5月の期間での処方数の大きな減少が見られたDPP4阻害薬を対象とし、その減少が服薬遵守に影響を与えていたかどうかを検討した。しかしながら、大きな違いは認められなかった。令和6年度は、他の薬剤についても検討を継続するとともに、2019年12月~2020年2月の間のMPRが80%以上で、緊急事態宣言期間を含む2020年3月~2020年5月に80%以下になった者を一定期間追跡し、さらにその予後への影響について、解析を実施する。

次年度使用額が生じた理由

前年度は概ね計画通りに使用できたが、旅費としての支出が少なかった。今年度は統計解析に多くの時間を要するため、効率的に解析を進めるための解析に必要なソフトウェアやメモリやSSDなどのストレージの費用に充てる予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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