研究課題/領域番号 |
22K06780
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
小笠原 裕樹 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20231219)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カルボニルストレス / 統合失調症 / 糖化 / メチルグリオキサール / カルボニル化合物消去剤 / 神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
カルボニルストレス性統合失調症モデルマウスを用いて、治療効果の期待される化合物の探索を行う前段階として、in vitroにおける直接的な抗カルボニル化活性を有する化合物のスクリーニング法の開発を試みた。従来は、牛血清アルブミンとグルコースやフルクトースを用いて、生成する蛍光性AGEsを指標としてカルボニル化タンパク質の生成や量的変化が測定され、カルボニル化抑制作用の評価指標としても用いられている。 本研究では、メチルグリオキサールを用い、その反応によって、より早く強い蛍光性AGEsを生じるタンパク質を探索した結果、卵白リゾチームを見出し、生成するAGEs構造がアルグピリミジンであることを明らかにした。次いで、それらによる反応を利用してカルボニル化を抑制する化合物に対する高感度且つ高精度な評価法の開発を試み、従来法に比べ、感度と定量性に優れた新たな評価法を確立した。その方法を用いて、抗糖化活性が報告されている代表的な成分を評価したところ、良好な結果が得られたため、本法を利用して新規の抗カルボニル化活性を有する物質の探索を行っている。 更に、カルボニルストレス性統合失調症に対して、別のメカニズムによる抗カルボニル化活性により治療効果が期待される化合物群として、Nrf2活性化剤に注目し、培養細胞系で検討を進めた。その結果、多発性硬化症の薬として既に承認、使用されている既存薬であるフマル酸ジメチルが、メチルグリオキサール誘導性のカルボニル化を抑制する作用を有することが分かった。今後、この神経系培養細胞を用いた評価系により、他のNrf2活性化剤についても抗カルボニル化活性の評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなin vitroでの評価系の構築を試み、2通りのスクリーニング法を開発、確立することができた。それらの評価法を応用して探索を行った結果、in vitroの系においてカルボニルストレスを軽減する作用を持つ化合物を複数見出すことができた。現在、カルボニルストレス性統合失調症モデル動物に、それらの化合物を投与し、その効果を評価する段階にまで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
カルボニルストレス性統合失調症モデル動物に、食餌制限(ビタミンB6欠乏食)を与え、1次、及び2次スクリーニングにおいて抗カルボニル化活性を有する化合物を腹腔、経口あるいは経鼻投与する。未投与群と投与群の、行動薬理学的評価を行うと共に、脳内、血液内におけるメチルグリオキサール濃度やカルボニル化タンパク質の蓄積量について比較解析する。また、効果を有する化合物については、その安全性や副作用などについても、あらためて観察、評価を行う。
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