研究課題/領域番号 |
22K06847
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
野村 健 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10706790)
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研究分担者 |
澤田 康之 名古屋大学, 未来社会創造機構, 准教授 (90718355)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 機械受容チャネル / MscL / メカノセンサー / 膜張力 / 分子動力学シミュレーション / タンパク質-脂質相互作用 / パッチクランプ / 大腸菌 |
研究実績の概要 |
本研究では、野生型および突然変異型MscLを用い、MscLの活性化剤であり、両親媒性物質でもあるクロルプロマジン(CPZ)を細胞膜の内外葉に不均等に分布させた場合、それがどのように膜張力の増加に繋がり、2つのメカノセンサー(F7およびF78)の感度を高めチャネルを開口へと導くのか、その分子メカニズムを解明することを目的とする。具体的には、チャネルが開きにくい機能喪失型突然変異体(LOF: loss-of-function mutant)であるF7XおよびF78Xを用いて、細胞膜の内外葉および両葉側からCPZを投与した場合の機械刺激に対する応答をパッチクランプ法を用いて評価する。また、分子動力学シミュレーションを用いた解析結果と電気生理学的実験で得られた結果を比較・照合しMscLのゲーティング機構のモデル構築を目指す。 今年度は、細胞膜の内葉側に存在するF7(F7A, F7V, F7L, F7I, F7GおよびF7P)および外葉側に存在するF78(F78A, F78V, F78L, F78I, F78GおよびF78P)を疎水性アミノ酸残基に置換したMscL突然変異体をそれぞれ作成し、パッチクランプ法を用いて機械刺激感受性の評価(MscL/MscS)を行った。その結果、F7X MscL突然変異体は野生型MscL(1.65±0.11)に比べ高い閾値比を示し、さらにF78X MscL突然変異体よりも活性化閾値が高かった。これらの結果は、MscLの活性には細胞膜の内葉側が外葉側に比べて高い張力が必要であることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回作成したF7(F7A, F7V, F7L, F7I, F7GおよびF7P)およびF78 MscL突然変異体(F78A, F78V, F78L, F78I, F78GおよびF78P)の閾値比を測定することができた。F78 MscL突然変異体は全て作成済みであり、現在、in vivo(低浸透圧ショック実験)およびin vitro(パッチクランプ法)での機械刺激感受性の評価を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、F7X MscL突然変異体を全て作成し、F78X MscL突然変異体と同様にin vivo(低浸透圧ショック実験)およびin vitro(パッチクランプ法)における機械刺激感受性の評価を行う。また、MscLチャネルの活性化剤であるクロルプロマジンを用いて、細胞膜の外葉に存在するF78および細胞膜の内葉に存在するF7の機能的役割を検証する。さらに電気生理学的実験で得られた結果と分子動力学シミュレーションを用いた解析結果を比較・照合し、MscLのゲーティング機構のモデル構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品、消耗品の購入価格および出張予定が当初の計画と若干異なっていたために次年度使用額が生じたが、基本的には計画通りである。
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