研究課題
2018年から2023年に対象の期間を拡大し、計28症例の肺原発扁平上皮癌 (背景肺別の内訳は特発性肺線維症:9症例、肺気腫のみ:8症例、喫煙関連間質性線維症:11症例)を解析対象として選定した。全対象症例のホルマリン固定パラフィン包埋検体から、腫瘍部・腫瘍から近傍の背景肺・腫瘍から遠隔の背景肺について、肺癌の診断や予後予測において有用性が報告されているCDH13、CDKN2A、RASSF1のメチル化解析と免疫組織化学染色を実施した。背景肺のメチル化解析では、既報よりも詳細な病理組織学的評価のもとに病的変化のある組織や癌の由来となる上皮細胞を多く含む領域をマクロダイゼクションした。さらに、肺癌を始めとする悪性腫瘍の予後指標として報告のある病理組織学的所見(Tumor budding、腫瘍の核直径)や免疫組織化学染色の結果を半定量的に評価し、メチル化率や臨床病理学的因子との関係性も解析した。結果として、CDKN2A exon2のメチル化は、肺の線維化や肺気腫を背景にした扁平上皮癌の独立した診断マーカーとして有用である可能性が示唆された。肺扁平上皮癌におけるCDKN2A exon2のメチル化の意義や特発性肺線維症などの発癌素地のエピゲノム異常をさらに解明するため、従来から肺癌の診断・予後予測マーカーとして比較的多くの報告があるCDKN2A promoterのメチル化解析なども進めている。
2: おおむね順調に進展している
解析が順調に進んでいる
症例数を増やし解析を勧める
試薬の使用が予定より少なかったため
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