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2023 年度 実施状況報告書

自己免疫機構に着目した野生型ATTRアミロイドーシスの病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07393
研究機関信州大学

研究代表者

関島 良樹  信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60322715)

研究分担者 佐藤 充人  信州大学, 医学部, 特任助教 (10816630)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードトランスサイレチン / 野生型ATTRアミロイドーシス
研究実績の概要

まず,血清中のTTRタンパクに対する自己抗体の存在を確認するために、TTRリコンビナントタンパクをSDS-PAGEし、PVDFメンブレンに転写して血清を一次抗体としてウェスタンブロットを行なった。全長TTRではmonomerに相当する約14 kD付近にバンドが出現した。TTRタンパクは本来4量体構造をとるが、それが解離すると自己免疫機構によって異物として認識され、自己抗体が作られることを支持するものである。またTTR断片(shorty)のウェスタンブロットではshorty monomerに相当する約9 kDに加え,20-80 kDの範囲に複数のバンドが出現した。血清によりバンドの高位・数が異なっていた。これは体内に多様なshorty oligomerが存在し、これを排除しようとするヒトの免疫機構が存在することを示している。ATTRwt患者群と非患者群で出現するバンドに特徴的な傾向は見出せなかった。次に、TTRに対する自己抗体を定量的に評価するために、TTRタンパク(shortyおよび全長TTR)を用いた間接ELISA反応条件の検討を行った。①プレートコーティング前のTTRタンパクの変性条件、②プレートへの固相化条件の検討を複数の組み合わせで実施した。その結果、ある条件でより強い抗原抗体反応を検出し得た。しかしATTRwt患者群と非患者群では有意差を認めなかった。この条件下で、ATTRwt患者のTTR四量体安定化薬治療前後の血清でELISAを実施し比較検討したところ、全例でTTR四量体安定化薬治療後の血清の抗原抗体反応の低下を認めた。これはTTR四量体安定化薬により、抗原となる異常TTRが血液中から減少し、抗原抗体反応が低下したためと考えられた。TTRタンパクによるELISAは治療反応性を評価するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TTR抗体のELISAによる検出系の構築が順調に進んでいる.

今後の研究の推進方策

これまでの実験で構築した間接ELISA反応条件でATTRwtアミロイドーシス患者、非ATTRwtアミロイドーシス高血圧患者、健常者血清を用いたTTRタンパクELISAを解析数を増やして実施する。ATTRwtアミロイドーシス患者については新規エントリー患者がおり、合計50名以上の血清サンプルを確保できる見込みである。TTR四量体安定化薬治療前後血清での解析数を増やすとともに、罹患年数による抗原抗体反応の変化、また抗原抗体反応と臨床所見(BNPなどの血液マーカー、PYPシンチなど)との相関についても検討する。また、shorty TTRは多様なoligomer形態をとることが推測される。Oligomerの構造的な解析が特異的な抗原検索に必要であり、今後はまず二次元電気泳動を用いたshorty TTRタンパクの解析を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度解析サンプル数を増やして,ELISAや二次元電気泳動を行うため.

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公開日: 2024-12-25  

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