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2022 年度 実施状況報告書

Lipid raftsおよびexosomeを標的としたアルツハイマー病の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07511
研究機関群馬大学

研究代表者

瓦林 毅  群馬大学, 医学部, 非常勤講師 (90186156)

研究分担者 中村 琢洋  群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (80744193)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードlipid rafts / Alzheimer / Abeta / tau / NMDA receptor / prion / fyn / transgenic mouse
研究実績の概要

脳Abetaアミロイドを再現するTg2576マウス(APP+)、神経原線維変化を再現するTgTauP301Lマウス(Tau+)、そしてそれらを掛け合わせたAPP+Tau+マウスを用い、マウス脳をショ糖密度勾配法で分画してcellular lipid分画を得た。マウス脳からシナプスの含まれるsynaptosomeを抽出し、さらに分画してsynaptosomal lipid分画を得た。得られた全分画をWestern blotで解析した。
Tg2576マウスのlipid raftでAbeta oligomerは cellular prion protein (PrPc)と複合体を形成していた。APP+マウスのlipid raftでFyn/ N-methyl-D-aspartate受容体(NMDAR) pathwayの活性化とtauのリン酸化とoligomer化の亢進が示された。ヒトtauを発現するAPP+Tau+マウスでこれらの変化はさらに増強した。Synaptosomal lipid raftではAbeta oligomerの蓄積時期とFyn/NMDAR pathway活性化、リン酸化tauの増加する時期は一致し、どちらも加齢と共に増加した。
我々の検討からlipid raftはAbeta oligomerが病的カスケードを進行させる共通のプラットホームとして機能していると考えられた。Lipid raftの成分は加齢と共に変化し、ADの初期から変化することが示されている。Lipid raftの成分を制御することによって下流にあるADの病的カスケードを抑制することは、ADの新たな疾患修飾療法になり得ると考えられた。
Exosome解析は患者の脳脊髄液と血液を採取中である。解析のためのリン酸化tau、neurofilament light chainなどのELISA系を開発中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

lipid raftsの解析はほぼ終了し、論文投稿を行った。exosome解析についてはサンプル収集と解析のための測定系の開発が進んでいる。exosome抽出の方法についてはまだ検討中であるが、概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

患者の脳脊髄液と血液の収集を続け、データベースを作成する。exosome解析のためのp217tau、neurofilament light chainなどのバイオマーカーのELISA測定系を完成させる。脳脊髄液、血液からのexosome抽出法を確定し、安定にexosomeが抽出できるようにする。exosome中のバイオマーカー測定を開始する。

次年度使用額が生じた理由

lipid raftsの研究はすでに購入済みの資材を用いることが多かったため、物品費が予想より少なかった。COVID-19のために国際学会の参加がオンラインとなり、旅費が掛からなかった。次年度はexosome抽出のための試薬、バイオマーカー測定の試薬及び機材に経費がかかるため、余剰分の経費はこれらの購入に充てる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Plasma ApoE4 Levels Are Lower than ApoE2 and ApoE3 Levels, and Not Associated with Plasma Aβ 40/42 Ratio as a Biomarker of Amyloid-β Amyloidosis in Alzheimer’s Disease2023

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Takumi、Kawarabayashi Takeshi、Ueda Tetsuya、Shimomura Sachiko、Hoshino Masaki、Itoh Ken、Ihara Kazushige、Nakaji Shigeyuki、Takatama Masamitsu、Ikeda Yoshio、Shoji Mikio
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: Online ahead of print ページ: 1~16

    • DOI

      10.3233/JAD-220996

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lipid Rafts Act as a Common Platform for Amyloid-β Oligomer-Induced Alzheimer’s Disease Pathology2022

    • 著者名/発表者名
      Kawarabayashi Takeshi、Nakamura Takumi、Sato Kaoru、Seino Yusuke、Ichii Sadanobu、Nakahata Naoko、Takatama Masamitsu、Westaway David、George-Hyslop Peter St.、Shoji Mikio
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: 87 ページ: 1189~1203

    • DOI

      10.3233/JAD-215662

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Different AT(N) profiles and clinical progression classified by two different N markers using total tau and neurofilament light chain in cerebrospinal fluid2022

    • 著者名/発表者名
      Kasuga Kensaku、Kikuchi Masataka、Tsukie Tamao、Suzuki Kazushi、Ihara Ryoko、Iwata Atsushi、Hara Norikazu、Miyashita Akinori、Kuwano Ryozo、Japanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative
    • 雑誌名

      BMJ Neurology Open

      巻: 4 ページ: e000321~e000321

    • DOI

      10.1136/bmjno-2022-000321

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Lipid rafts act as a common platform for Aβ oligomer-induced Alzheimer’s pathology2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kawarabayashi, Takumi Nakamura, Masamitsu Takatama, Mikio Shoji
    • 学会等名
      AAIC2022 ALZHEIMER’S ASSOCIATION INTERNATIONAL CONFERENCE
    • 国際学会
  • [学会発表] Lipid rafts act as a common platform for Aβ oligomer-induced Alzheimer’s pathology2022

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kawarabayashi, Takumi Nakamura, Kaoru Sato, Yusuke Seino, Sadanobu Ichii, Naoko Nakahata, Masamitsu Takatama, Mikio Shoj
    • 学会等名
      第63回日本神経学会学術集会
  • [学会発表] Alzheimer病の病態カスケードはlipid raftを共通のプラットフォームとして進行する2022

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅、中村琢洋、高玉真光、東海林幹夫
    • 学会等名
      第41回日本認知症学会学術集会
  • [学会発表] リピドラフトはアミロイドβ蛋白蓄積による神経障害の共通したプラットフォームである2022

    • 著者名/発表者名
      瓦林毅,東海林幹夫、甘利雅邦、菅原隆、岩崎理、岡大典, 高玉真光
    • 学会等名
      令和4年度秋季群馬県医学会
  • [学会発表] バイオマーカーとしての脳脊髄液血液神経細線維軽鎖の意議2022

    • 著者名/発表者名
      東海林幹夫,瓦林毅,甘利雅邦,菅原隆,岡大典,石澤邦彦,高玉真光
    • 学会等名
      令和4年度秋季群馬県医学会

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公開日: 2023-12-25  

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