研究課題
がん放射線治療をさらに個別最適化するためには普及型光子線治療に抵抗性を示す症例を診断時に同定し、粒子線治療など強度の高い治療モダリティへ層別化する必要がある。近年、プレシジョンメディシンが薬物療法領域で急速に普及しつつあるが、遺伝子パネル検査はいまだに高価かつ用途が限定的なことから放射線治療臨床への速やかな導入は現実的でない。一方、近年の技術革新によりがん細胞中の微小代謝産物プロファイル(メタボローム)の高精度かつ安価な解析が可能となった。以上から、本研究は、臨床の根治的放射線治療コホートの解析と独自に開発したがん細胞放射線感受性データベースを活用した解析を組み合わせたリバース・トランスレーショナルリサーチにより放射線治療抵抗性を予期するメタボロームを同定することを目的とする。具体的には、前向きに集積済の子宮頸癌・根治的放射線治療症例の治療前腫瘍検体をLC-MS/MSで解析しメタボロームを同定する。機械学習を用いて同コホートの治療成績を予期するメタボロームを抽出する。独自に開発したCCLE収載がん細胞株の放射線感受性データベースとCCLEが公開するメタボロームデータを関連解析し抽出した候補メタボロームの科学的蓋然性を検証する。培養細胞実験をおこない抽出した候補メタボロームの科学的蓋然性を最終確認する。研究第二年度のR5年度は前年度に引き続き前向き集積・子宮頸癌・根治的放射線治療症例の腫瘍ならびに血液検体をLC-MS/MSで解析しメタボロームをプロファイルした。悪性度が高く高腫瘍免疫応答に乏しい腫瘍との関連が報告されている新規がん関連代謝産物リボシル化クレアチンの亢進を子宮頸癌検体において初めて同定した。さらにリボシル化クレアチン亢進症例の血清においてはクレアチン・アルギニンの代謝経路が特徴的なプロファイルをとることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
予定通り進んでいる。
以下を予定通り進める。・CCLE収載がん細胞株の放射線感受性データベースとCCLEが公開するメタボロームデータを関連解析し抽出したメタボロームの科学的蓋然性を検証する。・培養細胞実験をおこない抽出したメタボロームの科学的蓋然性を確認する。
消耗品などの購入が若干遅れたため。
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