研究課題/領域番号 |
22K07777
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
澁谷 景子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (50335262)
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研究分担者 |
中村 光宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (30584255)
椋本 宜学 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (50736618)
井口 治男 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60648880)
松田 尚悟 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (00623282)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | MR画像誘導即時適応放射線治療 / 高精度放射線治療 / 医用画像特徴量分析 / デルタ医用画像特徴量分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、難治性である進行がんに対し、放射線治療期間中の腫瘍の生体機能動態情報を抽出し、その変化に適応させる次世代高精度放射線治療のための基盤技術を開発することである。高磁場MRI一体型放射線治療装置は、日々の体内変化に対し高精度に照射位置を適応させることで、その日の患者体内で計画線量分布を再現する即時適応放射線治療を可能とするものである。しかしながら、難治性である進行がんにおいては、放射線感受性の高い正常臓器が標的に広範囲に近接することが多く、日々の形態変化に照射位置を適応させるのみでは、治療成績の劇的な向上は見込めない。治療期間中の腫瘍、正常組織の生体機能情報変化を早期に捉え、その変化に適応することのできる強力な局所的治療介入ができれば、難治癌における治療成績の革新的な向上が期待できると考える。 今年度はデータベース構築のため、Windowsサーバー機能を有したNAS上にDICOMサーバーを構築し、高磁場MRI一体型放射線治療装置とのMRIデータのDICOM通信を可能にした。Pythonコードを用いて転送されたMRIデータのDICOMヘッダ情報を基に、患者、治療日、撮影シーケンス毎にMRIデータを自動階層化するシステムを構築した。また、PythonコードであるPyRadiomicsを用いて各治療日に撮影した拡散強調MRIの画像特徴量分析、ならびにデルタ医用画像特徴量分析を実施し、治療期間中の画像特徴量変化を明らかにした。さらに、照射中のリアルタイムMR画像の解析にも着手し、非DICOM系MR画像データの数値化、AIを用いた直交2断面2DMRIデータからの3D-MRIデータの再構築を可能にする基盤システムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はデータベース構築、MR画像誘導即時適応放射線治療の実施によるデータ蓄積、治療期間中の画像特徴量変化の解析を行った。本研究は概ね順調に進展している。 データベース構築では、Windowsサーバー機能を有したNAS上にDICOMサーバーを構築し、高磁場MRI一体型放射線治療装置とのMRI画像のDICOM通信を可能にした。Pythonコードを用いて転送されたMRIデータのDICOMヘッダ情報を基に患者、治療日、撮影シーケンス毎にMRIデータを自動階層化するシステムを構築した。 MR画像誘導即時適応放射線治療の実施によるデータ蓄積では、これまでに66名、約1,200,000枚のMRIデータ以上の実患者のMRデータを蓄積している。 治療期間中の画像特徴量変化では、PythonコードであるPyRadiomicsを用いて各治療日に撮影した拡散強調MRIの画像特徴量分析、ならびにデルタ医用画像特徴量分析を実施し、治療期間中の画像特徴量変化を明らかにした。 また、照射中のリアルタイムMR画像の解析にも着手し、非DICOM系MR画像データの数値化、AIを用いた直交2断面2D-MRIデータからの3D-MRIデータの再構築を可能にする基盤システムを構築した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はMR画像誘導即時適応放射線治療を介した高磁場MRIデータ、ならびに抽出された画像特徴量データを蓄積し、炎症反応などの超早期の臨床変化を観察可能とする生体機能動態情報を創出し、局所線量増加や局所線量低減が有用な患者群を明らかにしていく。また、今年度開発した照射中のリアルタイム3D-MRI再構成システムをさらに高精度化し、照射中の臓器の動きや照射精度の解析も実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID19) の影響により、予定していた国際学会での最新の研究開発状況の情報収集が困難になった。翌年度以降に新型コロナウイルス感染症の流行が収まった時点では本研究助成にて得られた知見の報告を予定しており、その際に得られる最新の研究開発情報や議論を通して得られる知見に関しては、さらに今後の開発に利用することが可能と考えられ、次年度以降の研究開発がさらに推進されることが期待される。
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