研究課題/領域番号 |
22K07829
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
西小森 隆太 久留米大学, 医学部, 教授 (70359800)
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研究分担者 |
高橋 知之 久留米大学, 医学部, 准教授 (20332687)
粟屋 智就 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20589593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エカルディ・グティエール症候群 / Type I interferonopathy / IFIH1 / MDA5 / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
エカルディ・グティエール症候群(Aicardi-Goutieres症候群(AGS))は脳内石灰化を伴う脳症で発症し、凍瘡様皮疹を伴う自己炎症性疾患である。原因遺伝子としてIFIH1, TREX1, SAMHD1, RNASEH2A, RNSAEH2B, RNASEH2C, ADAR, LSM11, RNU7-1の9遺伝子が同定されⅠ型インターフェロン過剰産生が病態として推定されているが、中枢神経系の炎症の分子機序は未解明で治療法が未確立である。Ifih1変異AGSマウスモデルの検討からミクログリアが中枢神経系炎症に重要である事が知られている。本研究ではIFIH1疾患特異的iPS細胞からミクログリアと神経系細胞を分化誘導・共培養する系などを用い、AGSの中枢神経系炎症の分子機序解明を試みる。 R5年度の成果として、R4年度に開発したIFIH1変異iPS細胞からミクログリア分化系を用いて、Ⅰ型インターフェロンの発現亢進に加えSTAT1等のシグナル伝達分子の活性化を確認した。また、iPS細胞由来ミクログリアを補完する目的で、マクロファージ細胞株(iPSML)での実験も併用した。IFIH1変異iPS細胞から誘導したミクログリアならびにIFIH1変異iPSMLを用いて、正常ミクログリアならびに正常iPSMLと比較して、Ⅰ型インターフェロン誘導遺伝子であるPMLがより強く誘導されることを観察した。また、PMLを抑制する化合物を用いた解析を行い、PMLと変異IFIH1の関係を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IFIH1変異iPS由来ミクログリア分化系がやや安定せず、同細胞からのアストログリア、ニューロンとの共培養系の実験の進捗が遅れているものの、iPSMLを用いた分化系を併用する事により、IFIH1変異によるⅠ型インターフェロン関連遺伝子発現亢進系を構築することができた。これらの系を用いて変異IFIH1によるⅠ型インターフェロン関連遺伝子発現亢進を抑制する化合物スクリーニング系に結びつけていく。
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今後の研究の推進方策 |
IFIH1変異iPS由来ミクログリア分化系が回復したので当初の目的のアストログリア、ニューロンとの共培養系の実験を再開、IFIH1変異によるAGS脳内での炎症機序の解明をより詳細に解析していく。iPS 由来ミクログリア、iPSMLで再構築できたⅠ型インターフェロン関連遺伝子誘導系を用いて、同系を抑制する化合物探索系を構築する。さらに、スクリーニングのためにヒト単球細胞株THP-1などの細胞株を用いて変異IFIH1を導入、ミクログリア、iPSMLで誘導できた表現型の再現を試み、薬剤スクリーニング系を構築する。また同時に、新規IFIH1変異の疾患関連性の評価系としても活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞からミクログリア分化系が予定通り働かなかったため、余剰予算が生じた。現在回復したので、次年度に使用する予定である。
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