本研究では、下記の2点を目的とする。①喫煙誘導肺癌の発症における脂質メディエーターの役割を解明すること②肺癌発症の新規予防薬を探索すること、本研究は申請者らが世界で初めて確立した喫煙誘導肺気腫・肺癌マウスモデルと、リピドミクス解析の手法を組み合わせて、喫煙誘導肺癌発症の分子学的機序の詳細な検討ができるという点で独自性がある。本研究の成果により、喫煙誘導肺癌の発症予防を通じたCOPD患者や喫煙者の予後改善に貢献できる可能性がある。本年度は喫煙誘導肺癌モデルマウスにおけるリピドミクス解析による標的因子の検索を中心に検討を行った;5か月の間歇喫煙曝露による喫煙誘導肺癌モデルマウスの肺検体、脂質メディエーター代謝に関わる薬剤であるセレコキシブの投与を行った肺検体を作成した。5か月の間歇喫煙曝露による肺内炎症や、肺癌の発症をセレコキシブの投与は抑制しただけでなくリピドミクス解析において喫煙曝露により亢進したCOX系の抑制などを確認することができた。本検討からPGE2など複数の代謝産物を肺気腫、肺癌の病態候補と絞ることができた。
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