研究課題
糖尿病性腎臓病(DKD)は患者数が増加しているにもかかわらず未だにアンメットメディカルニーズの高い疾患である。これまでに我々のグループは糖尿病状態において糸球体構成細胞である糸球体内皮細胞とポドサイトにおけるインスリン受容体基質(insulin receptor substrate1; IRS1)シグナル異常がDKD進展に重要であることを示している。本研究ではDKDにおけるポドサイト内ミトコンドリア機能障害の解明とインスリン/IRS1シグナルによるマイトファジーへの影響を検討する。培養ポドサイトにおいてミトコンドリア機能を反映するPGC1aをqPCRにより検討した。ポドサイトをhigh glucose(25mM)で培養するとlow glucose(5.5mM)培養時に比して、PGC1aの発現は33+/-6%減少した。さらに、マイトファジーに関連するPINK1が34+/-20%減少していたことから高血糖によりポドサイト内ミトコンドリア機能障害が生じていると考えられる。次に、ポドサイトをインスリン(10mU/g)で刺激するとPGC1aは132%回復した。PINK1についてはインスリン刺激による変化は認められなかったが、PINK1同様にマイトファジー関連マーカーであるParkinはインスリン刺激により4.5+/-0.7倍増加した。以上のことから高血糖状態はポドサイト内におけるマイトファジーを抑制することでミトコンドリア障害を生じるが、インスリンシグナルはマイトファジーを回復させることでミトコンドリア機能を回復させることが示唆された。
3: やや遅れている
Cre-loxPポドサイト特異的IRS1ノックアウトマウス(podIRS1KO)における腎機能、腎組織の検討が遅れている。
次年度はin vivoに関する研究を中心に行う予定である。
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