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2022 年度 実施状況報告書

Ketosis-prone diabetesの膵臓抗原に対する細胞性免疫異常

研究課題

研究課題/領域番号 22K08678
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

島田 朗  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60206167)

研究分担者 及川 洋一  埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30296561)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード糖尿病 / 細胞性免疫 / 外分泌酵素 / HLA
研究実績の概要

肥満があるにも関わらず、特別な誘因なく、ケトーシスになる”ketosis-prone diabetes(以下、KPD)”という概念は、米国糖尿病学会でも”atypical diabetes”とされ、いわゆる分類不能例に該当する。KPDの50%は、誘因なく糖尿病ケトアシドーシスを起こし、糖尿病ケトアシドーシスの20%は、KPDにより起こるとされており、極めて重要な病態である。
これまでに我々は、膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼのいずれか)について、KPDでは23.8%が高値であり、1型糖尿病における23.2%とほぼ同レベルであることを見出している(通常の2型糖尿病では5.9%)。それを踏まえて、外分泌組織に関連する抗原である、ラクトフェリンに着目し、その抗体を測定したところ、KPD、1型糖尿病、の両者の間では抗体価に差がなかった一方、対照である通常の2型糖尿病に比べ、双方とも有意に高いことを見出した。そこで、それに関与する遺伝背景を検討するため、HLA型を検討したところ、KPDでは日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差はなかったが、DRB1*09:01を有する場合の方が、ラクトフェリン抗体価が高いことを見出した。さらに、日本人1型糖尿病の疾患抵抗性のHLA型であるDRB1*15:01およびDRB1*15:02を有する場合は、逆にラクトフェリン抗体価が低いことを見出した。このような関係は、1型糖尿病においては見られなかった。現在、他の標的抗原候補であるCA-2についても検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上述のように、これまでに我々は、膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼのいずれか)異常について、KPDでは、1型糖尿病とほぼ同じ割合で高値を呈することを見出しているが、それを踏まえて、外分泌組織に関連する抗原である、ラクトフェリンに着目し、その抗体を測定したところ、KPD、1型糖尿病、の両者の間では抗体価に差がなかった一方、対照である通常の2型糖尿病に比べ、双方とも有意に高いことを見出した。さらに、KPDでは日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差はなかったが、DRB1*09:01を有する場合の方が、ラクトフェリン抗体価が高いこと、また、日本人1型糖尿病の疾患抵抗性のHLA型であるDRB1*15:01およびDRB1*15:02を有する場合、逆にラクトフェリン抗体価が低いことを見出し、この現象がKPDに特異的であることを確認した。現在、他の標的抗原候補であるCA-2についても類似の内容について検討中であるが、本検討がまだできていないことから、やや進行が遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

これまでは、自己抗体の検討を行ってきたが、今後は、細胞性免疫についても検討する必要がある。細胞性免疫能、特に抗原特異的T細胞反応性の評価については、これを専任で行う常勤の実験補助者もいるが、これまでに行なってきたインスリンペプチドを用いた検討のみならず、他の膵臓関連抗原、すなわち、膵外分泌抗原を用いた検討についても合わせて行う計画である。また、糖尿病患者のデータべース、血液などの検体管 理システムもすでに確立しており、別の研究補助者が常時管理しているが、研究補助者の増員などによる効率化を行い、さらに件数を増やせる体制を構築していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

前述のように、他の標的抗原候補であるCA-2についても類似の内容について検討予定であったが、CA-2抗体測定のためのキットを海外より輸入しており、その入手が先方の事情により遅れたため、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A patient with ketosis-prone type 2 diabetes showing nearly normalized glucose tolerance after recovery from severe diabetic ketoacidosis2022

    • 著者名/発表者名
      Satomura Atsushi、Oikawa Yoichi、Sato Haruhiko、Takagi Sotaro、Yamashita Takuto、Shimada Akira
    • 雑誌名

      Diabetology International

      巻: 14 ページ: 109~113

    • DOI

      10.1007/s13340-022-00599-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Clinical Significance of Insulin Peptide specific Interferon-γ related Immune Responses in Ketosis-prone Type 2 Diabetes2022

    • 著者名/発表者名
      Satomura Atsushi、Oikawa Yoichi、Haisa Akifumi、Suzuki Seiya、Nakanishi Shunpei、Katsuki Takeshi、Shimada Akira
    • 雑誌名

      The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism

      巻: 107 ページ: e2124~e2132

    • DOI

      10.1210/clinem/dgab912

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Current clinical state of type 1 diabetes in Saitama prefecture2022

    • 著者名/発表者名
      Oikawa Yoichi、Hashimoto Koshi、Hara Kazuo、Morimoto Jiro、Namai Kazuyuki、Tanaka Akihiko、Tanaka Satoshi、Shimada Akira
    • 雑誌名

      Diabetology International

      巻: 13 ページ: 436~446

    • DOI

      10.1007/s13340-021-00557-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 緩徐進行1型糖尿病における膵外分泌酵素についての検討2022

    • 著者名/発表者名
      羽井佐 彬文, 中西 俊平, 鈴木 誠也, 里村 敦, 及川 洋一, 井上 郁夫, 島田 朗
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] Ketosis prone Type 2 diabetesにおける膵外分泌酵素値と細胞性免疫指標の検討2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木 誠也, 里村 敦, 中西 俊平, 羽井佐 彬文, 及川 洋一, 島田 朗
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] Ketosis prone Type 2 diabetesにおけるインスリンペプチド反応性T細胞の臨床的重要性2022

    • 著者名/発表者名
      里村 敦, 及川 洋一, 中西 俊平, 鈴木 誠也, 羽井佐 彬文, 島田 朗
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [学会発表] 1型糖尿病の治療 ーインスリンの歴史から実際、そして最新治療までー2022

    • 著者名/発表者名
      島田 朗
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 1 型糖尿病における抗原特異的免疫応答2022

    • 著者名/発表者名
      及川 洋一
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 招待講演
  • [備考] 埼玉医科大学内分泌糖尿病内科 研究業績

    • URL

      https://saitama-endodiab.jp/research1

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公開日: 2023-12-25  

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