研究課題/領域番号 |
22K08772
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水島 恒和 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授 (00527707)
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研究分担者 |
関戸 悠紀 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00781709)
荻野 崇之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (50597458)
吉原 輝一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70850311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸管上皮細胞 / RNA sequence解析 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Diseases:IBD)は消化管に原因不明の炎症をおこす慢性疾患であり、腸内細菌叢に対する免疫応答の異常が、IBDの病因に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。腸管内では1層の腸管上皮細胞が腸内細菌叢と(腸管)免疫細胞を隔てており、バリアとして重要な役割を担っている。IBDの病因において腸管上皮が腸内細菌叢と(腸管)免疫細胞の関係にどの様な影響を及ぼしているかは、明らかではない。本研究では、一時的人工肛門造設状態という外科的に腸内細菌叢の影響がコントロールされた特殊な状態の手術検体を解析することにより、IBDにおける腸内細菌叢に対する腸管上皮の変化やバリア機能への影響を明らかにし、バリア機能制御による新規治療法開発の可能性を探索することを目的とした。 1年目は腸内細菌叢とIBDに関する先行研究と同様に、人工肛門が造設された患者の人工肛門閉鎖時に採取される手術検体を用いて解析を行った。健常人(直腸癌に対して一時的人工肛門造設を伴う切除術が施行された患者)の人工肛門口側腸管(使用腸管)と肛門側腸管(空置腸管)から腸管粘膜を採取し、得られた腸管粘膜から、Flow Cytometryを用いて腸管上皮細胞(CD45+EpCAM+細胞)をソーティングした。上皮細胞より遺伝子を抽出し、NGS(Illumina HiSeq System)を用いてRNA sequence解析を行いRNA sequence解析の結果より、腸管上皮で発現が変化する遺伝子(Pathway)を抽出した。また、CD患者においては通常の腸管切除時に採取される手術検体を用いて、同様の方法で腸管上皮の遺伝子発現を解析した。CD患者3例+人工肛門機能腸管3例+空置腸管3例のデータを取得でき、今後サンプル数を増やして解析する予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度ではCD患者3例+人工肛門機能腸管3例+空置腸管3例の腸管上皮細胞のRNA sequence解析のデータを取得できた。次年度にはCD患者サンプルを12例まで増やす予定であり、概ね計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
採取した腸管上皮細胞のRNA sequence解析において今年度ではCD患者3例+人工肛門機能腸管3例+空置腸管3例のデータを取得できた。次年度にCD患者サンプルを12例まで増やし、CDの腸管上皮における疾患特異的遺伝子(Pathway)を検討する。また、計画書にて2年目に予定している健常人腸管上皮の疑似無菌状態における遺伝子発現変化とCD患者腸管上皮の遺伝子発現変化から標的となりうる遺伝子(Pathway)を絞り込み、手術検体を用いて免疫染色、Western Blottingなどによりタンパク発現を確認する。CD患者では患者背景や薬物療法などの臨床情報との関連についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞分離に使用する抗体・試薬未購入分 来年度に購入予定
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