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2022 年度 実施状況報告書

Scaffold-free気管模倣組織体で導かれた気管再生のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K09001
研究機関大阪大学

研究代表者

岩崎 駿  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40882254)

研究分担者 出口 幸一  大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00747082)
奥山 宏臣  大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30252670)
中山 泰秀  大分大学, 医学部, 客員研究員 (50250262)
岩井 良輔  岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 講師 (60611481)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード気管移植 / 気管形成術 / 軟骨培養 / 軟骨再生 / 組織工学
研究実績の概要

我々は、難治性小児気管・気管支先天異常に対する、より生体適合性の高い再生気管の開発を目標としている。これまで報告されてきた全周性気管移植における人工気管は、人工材料に対する異物反応や耐圧不足に伴う気管狭窄が高率に生じていた。そこで人工材料を用いず、組織工学の技術を用いた再生気管であるscaffold-freeの気管模倣組織体を独自に開発した。この組織体を用いたラットモデルでの全周性気管移植では8ヵ月の生存を先行研究において確認している。しかし、上述の異物反応や耐圧不足といった課題を克服し得た過程については科学的証明に至っていない。本研究はこの組織体の再生機序を世界で初めて明らかにすることを目的としている。なお、確実な組織再生の観察のため臨床応用に至っている気管形成術を用いて手術した。
本年度前半に、気管模倣組織体の作成および手術モデルの作製に着手した。実験動物はLewis ratを用いた。採取したラットの肋軟骨から肋軟骨細胞を分離・培養し、細胞自己凝集化技術によって軟骨リングを作成した。軟骨リングと鋳型を組み合わせた基材をラット背側へ埋入し、コラーゲンで軟骨リングが包埋されることで気管模倣組織体を作成した。レオメーターによる強度試験で、生体気管に劣らない強度であることは確認できている。本年度後半に、ラットの手術モデルの作製についても全例作製し得た。設定した観察期間経過前に死亡したモデルは2例のみと高い生存率を維持した。死亡時期は、1例は術翌日の死亡、もう1例は術後95日目であった。現時点では、前者が手術の影響による排痰不良、後者は移植箇所の外観で軟骨リングの変形による内腔狭窄が、死因であると考えている。高い生存率の一方で、rhonchiや努力呼吸といった呼吸器症状の出現は全生存モデルで出現した。症状の改善は多くのモデルが3-5日ほどを要したものの、完全消失には至らなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

気管模倣組織体および手術モデルの作製いずれも予定通り済ませることができている。組織解析については、結果の解釈やその再現性を高めるにあたり解析時期を統一するため、全モデルの検体が揃うまで実施しない方針としている。そのため計画以上の進展まで得ることはできなかった。また、一部の手術モデルにおいては、観察期間が過ぎていないものもあるため、そのモデルの検体が回収できる時期に合わせて解析時期を設定していく必要がある。

今後の研究の推進方策

次年度から、未回収の検体採取および全検体の結果解析を実施予定である。検体の数が多いこと、また評価範囲が移植範囲のみと決められており、固定から評価範囲の切り出しにも相当な期間を要すると推測される。解析内容については、気管壁構造再生の詳細な解析のために、免疫組織化学染色も実施予定である。組織解析に時間を要するため、解析環境の変化を極力生じないように努め、手技の再現性をより意識しておく必要がある。

次年度使用額が生じた理由

今年度当学で行う予定であった実験を多施設(岡山理科大学)で賄うことができたため、当学で支出予定だった実験費用がかからなかった。次年度以降当学にて実験を進める予定であるため、動物実験費用として使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] REGENERATION MECHANISM ELUCIDATION OF A SCAFFOLD-FREE ARTIFICIAL TRACHEA MADE BY USING TISSUE ENGINEERING2022

    • 著者名/発表者名
      Shun Iwasaki
    • 学会等名
      35th International Symposium on Pediatric Surgical Research
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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