研究課題
本研究は、大腸に効率的に酪酸を送達する酪酸ナノ粒子薬(BNP)を用いて腸内環境を改善することによる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)発症予防法の開発、ならびに腸内環境への酪酸の作用機序を解析することにより臓器間連関の視点からPCOSの病態形成機序を明らかにすることを目的としている。初年度にあたる当該年度においては、胎児期に子宮内高アンドロゲン曝露を受けたPNAマウスに対し、離乳期(4週齢)から12週齢(若年成獣期)までBNPを溶解した飲料水を自由摂水させ、16週齢(成獣期)にsacrificeするモデルを用いてPCOS様表現型の解析を行っている。生殖表現型の改善を認める可能性が示唆されており、現在再現性の確認中である。またこのモデルにおける糞便を採取しており、検体がすべて採取し終えたところで腸内細菌叢解析を行う予定である。また予備的な解析でPCOSでもっとも代謝物の変化が起きることが示唆された6週齢(思春期)、12週齢、16週齢の糞便のメタボローム解析を行い、PCOS個体で複数の有機酸をはじめとした水溶性物質で変化が起きていることを明らかにした。現在腸内細菌叢変化との連関の解析を進めている。また併せて、脂溶性物質のメタボローム解析を開始ししており、脳、肝をはじめとした他臓器における代謝物との連関の解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
使用しているPNAモデルは作成から最終結果が得られるまで約半年かかる(交配、出産、出生児の16週齢までのfollowのため)モデルであるため、最終的な検体採取までに時間を要するが、順調に検体採取が進んでおり、解析にも一部入ることができている。
上述のように、当該研究はモデル作成に時間を要するが、現在予定通り着実に検体が集まっており、次年度は解析メインへと進むため、加速して結果が得られると考えられる。
採取検体をまとめて解析するため、解析のメインが次年度になったことと、共同研究などにより解析費が予定より少なくなったことが理由である。後者の理由により節約できた解析費で、さらに詳細な検討ができている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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