研究課題/領域番号 |
22K09928
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
庄子 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10336175)
|
研究分担者 |
雪竹 英治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (30380984)
浜本 洋 帝京大学, 付置研究所, 准教授 (90361609)
内藤 真理子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (20244072)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 歯周病細菌 |
研究実績の概要 |
ジンジバリス菌のPorEは9型分泌機構に関わるリポタンパク質であり外膜の内葉に局在する。PorEのリポタンパク質は18番目もしくは24番目のシステインが脂肪酸付与部位と推測された。そこで、それらのシステインをアラニン置換した変異遺伝子を作製し、porE遺伝子欠損部位に戻す株を作製し表現型が戻るか否かを調べた。その結果、18番目、24番目のそれぞれを単独にアラニン置換したものはporE遺伝子欠損の表現型を完全に相補した。一方、18番目、24番目の両方をアラニン置換したものはporE遺伝子欠損の表現型を相補できなかった。これらのことから、18番目と24番目の両方のシステインはPorEの機能に重要であることを見出した。 次にPorEは外膜タンパク質であるPorPと結合すると報告されている。PorE のどの部分がPorPに結合するのに重要であるかを調べた。PorEはTPR, WD40, CRD, OmpAという4つのドメインからなる。抗PorE抗体でのプルダウンが難しいことがあり、PorEの欠損株にPorEのC末端側にツインストレプトタグ[TST]をつけた遺伝子として、PorE-TST, PorE[TPR欠損]-TST, PorE[WD40欠損]-TST, PorE[CRD欠損]-TST, PorE[OmpA欠損]-TSTをporE遺伝子欠損部位に相補させる株を新たに作製した。TSTによりプルダウンした結果、PorE[CRD欠損]およびPorE[OmpA欠損]はPorPを共沈した。しかしながら、PorE[TPR欠損]、PorE[WD40欠損]ではPorPを共沈することはできなかった。つまりPorEのTPRおよびWD40ドメインがPorPとの結合に重要であると示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PorE-PorP複合体の形成に必要なPorEの領域を同定することができた。さらに、PorEのリポタンパク質の輸送に必要なリポボックスの中の2つのシステインが機能的に重要であることは新知見である。PorE-PorP複合体は9型分泌機構のうちジンジパインプロテアーゼの分泌に必須であることを見出している。しかしながら、PorAやHbp35などはPorE-PorP複合体非依存性に分泌されることを見出している。現在、PorE-PorP複合体の選択的分泌メカニズムの詳細について解析を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
①PorE欠損株、PorP欠損株(CDS内に挿入変異)においてPorAおよびHbp35の分泌が行われているという知見を得ている。それらの知見はPorE欠損株を用いて抗PorA抗体, 抗Hbp35抗体を用いたイムノブロット法にてA-LPS結合型スメアバンドが検出されることから判断できる。これまでATCC 33277株を用いて調べてきたが、W83株でも同様であるかを調べる。② 野生株、PorE欠損株、PorP欠損株(CDS内に挿入変異)、PorK欠損株から外膜ベシクルを調製し、それぞれの株にてA-LPS結合型T9SS分泌タンパク質があるか否かを質量分析にて調べる。この方法によりPorE-PorP依存性分泌機構もしくはPorE-PorP非依存性分泌機構が存在するかを明らかにできる。③ ②で得られた知見から、PorE-PorP依存性分泌機構もしくは非依存性分泌機構をより詳細に調べるために、いくつかのタンパク質について特異抗体を作製してイムノブロット解析にて結論を得る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究究計画に必要な試薬を一部省略することができ購入せずに済む場合があった。次年度には未使用金額を上乗せして全額使用するようにする。具体的には新規変異株作製に必要なオリゴDNAの購入費に使用する。
|