研究課題/領域番号 |
22K10160
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
中野 有美 南山大学, 人文学部, 教授 (60423860)
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研究分担者 |
徳倉 達也 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20378136)
木村 宏之 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50378030)
伊藤 幹子 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (50469003)
佐藤 曾士 (朴曾士) 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (50587566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 口腔内灼熱症候群 / 心理的介入までの障壁 / 認知行動療法 / マインドフルネス |
研究実績の概要 |
歯科口腔領域における原因不明の慢性痛の一つに口腔内灼熱症候群(Burning Mouth Syndrome:BMS)がある。慢性痛に関する研究は腰痛を中心に近年目覚ましい発展を遂げ、感情や記憶が痛み症状に関与していることが明らかになってきていることから心理社会的介入が期待されている。しかし、口腔内の慢性痛に関してのメカニズムや治療に関する研究、特に心理社会的介入については腰痛のそれに比べて開発が格段に出遅れている。さらには、臨床現場では、患者側にBMSの症状に心理的な側面が関与していることを認めることが大きな抵抗になっているケースをしばしば認める。そこで、本研究では、BMSの患者が安心して心理社会的介入を選択できるような体制を探求するとともに、BMSに特化した心理社会的介入を開発しその治療効果の可能性について確認することを目的としている。初年度である2022年度には、愛知学院歯学部付属病院リエゾン歯科医療外来に通院しているBMSの患者に自記式アンケートを実施し、2023年3月現在、35ケース収集した。内容は次のとおりである。①口腔内の痛みの強さ、性状、②抑うつ状態・不安状態の確認、③ 痛みに対する考えや感情、④痛みに対して心理的支援を受けることへの躊躇とその理由、⑤日常生活の中で、口腔部における痛み症状と関連した生活上の困り事、あるいは、その痛み症状が増強した具体的な状況。アンケートへの協力を得られた患者の中で同意が得られた者については、生活のしにくさについてさらに詳しくインタビューを追加している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート実施の補助員を雇い、研究分担者の協力の下、アンケートに協力いただける患者をリクルートしている。一方でアンケート実施補助員を雇い、アンケートに協力する意向を示した患者がアンケートを完成するまでを補助してもらっている。
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今後の研究の推進方策 |
50ケースのアンケートが集まったところで、一度データを解析し、データ収集の継続について検討する予定である。患者らが痛みをどのように捉え生活のしにくさを感じているか、そして、心理的介入にどのような抵抗を感じているかなどの解析結果を踏まえ、患者に心理的介入を進める際に重視すべき点について研究分担者と議論し、心理的介入に誘いやすい環境整備に努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート実施補助員に対する人件費が安価に抑えられたことと、コロナ禍のために出張を控えたために旅費がかからなかったことが挙げられる。2023年度からは人件費が上がり、データが集まってきていることから情報発信の機会、見聞を広める機会が格段に増えると予測している。
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