研究課題/領域番号 |
22K10230
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (30343122)
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研究分担者 |
落谷 孝広 東京医科大学, 医学部, 特任教授 (60192530)
藤居 泰行 東京医科大学, 医学部, 助教 (90829748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / MRONJ / エクソソーム |
研究実績の概要 |
本研究は、薬剤関連顎骨壊死(Medication-related osteonecrosis of the jaws: MRONJ)におけるエクソソームの関与による基礎的知見を見出し、発症メカニズムおよび病態の解明を目的とする。昨今、細胞間コミュニケーションツールとしてエクソソームが果たす役割に注目が集まっており、癌や免疫疾患など多様な疾患の診断や治療への臨床応用が期待されている。MRONJも、その病態には骨のリモデリング、つまり骨芽細胞と破骨細胞のコミュニケーションが大きく関わっ ているが、MRONJの病態とエクソソームの関連を示す研究はまだない。本研究の目的は、これまで不明であったMRONJのバイオマーカーや新規治療ターゲットの発見に繋げ、現在においても多くの臨床家が難渋しているMRONJの診断や治療に革新的な一歩をもたらすことである。 本研究では、破骨細胞誘導過程でBP製剤を添加することで、破骨細胞の分化能や活性、骨吸収能の抑制を認めた。Small RNA Sequencing解析では、MRONJに発現異常を起こしている16個のエクソソーム中のmiRNAを同定した。これらの発現変動遺伝子の中のmiR-146a-5pを破骨細胞に過剰発現させたところ、破骨細胞形成が抑制され、破骨細胞マーカーのmRNA発現が低下することが明らかになった。また、データベースによりmiR-146a-5pの標的遺伝子をTraf6と特定した。実際に、破骨細胞にmiR-146a-5pmimicを遺伝子導入することでTraf6の発現レベルの低下を認めた。今後は、miR-146a-5pを介したこれらの阻害メカニズムをさらに探索し、MRONJ発症におけるエクソソームの役割を解明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-146a-5pの標的遺伝子であるTraf6の発現に関しても確認できており、in vitroでの研究は予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の予定通り動物実験を進めていく予定である。MRONJモデルマウスにmiR-146a-5pを投与した際のMRONJの病態を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験が遅滞なく円滑に進んだため、次年度使用額が生じた。 使用計画に関しては、ピペット等の消耗品の購入を検討している。
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