研究課題/領域番号 |
22K10381
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
荒川 玲子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 臨床ゲノム科医長 (40623111)
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研究分担者 |
加藤 規弘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 部長 (80293934)
高島 響子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 主任研究員 (10735749)
高野 梢 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, センター病院, 上級研究員 (60722452)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 知る権利 / 知らないでいる権利 / clinical actionability / 臨床的対応可能性 |
研究実績の概要 |
遺伝性疾患患者が、家系員への情報伝達の意思決定に関わる要因として、clinical actionability(臨床的対応可能性)、および血縁者の知る権利、知らない権利について検討を行った。原則として医療者には患者に対する守秘義務があり、患者には知る権利/知らないでいる権利、ならびに自身の情報を誰に共有してよいか決める権利がある。世界医学会「患者の権利に関するリスボン宣言」8,守秘義務に関する権利では「患者の健康状態、症状、診断、予後および治療について個人を特定しうるあらゆる情報、ならびにその他個人のすべての情報は、患者の死後も秘密が守られなければならない。ただし、患者の子孫には、自ら健康上のリスクに関わる情報を得る権利がありうる。」とされる。 家系員への情報伝達をめぐっては、患者側の家系員に伝えたい・伝えたくないという意思、プライバシー保護、守秘義務に関わる課題とともに、家系員側の知る権利、知らない権利に関わる課題も同時に生じてくる。 患者が家系員に遺伝情報を開示するか否かを決定する際に血縁者の知らないでいる権利を侵してしまうのではないかという不安があり、それにより情報伝達について決定できないという事象が存在することが調査から判明した。さらに情報伝達の意思決定の際に、遺伝性疾患のclinical actionability(臨床的対応可能性)のうち、治療および予防法の有効性が、重要な要素であることも判明した。ゲノム情報の有効な利活用を推進するためには、遺伝性疾患の治療可能性や予防法についても広く社会に認識してもらう必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝性疾患患者における家系員への情報伝達に与える影響の調査がおおむね順調に進展していると考えられるため
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今後の研究の推進方策 |
患者側が懸念している家系員側の権利等について論点の整理を行い、さらに、患者の意思決定に影響する要因の調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンラインの学会参加により想定よりも旅費が抑えられたこと、また物品購入の繰り越しが生じたため
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