研究課題/領域番号 |
22K10442
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
村上 和司 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60575207)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 視線計測 / 循環器カテーテル手技 / 術者教育 |
研究実績の概要 |
2022年度後半に冠動脈インターベンション実施患者で視線計測をおこなった結果、視線計測は可能であったが、記録時間によってはデータ記録・保存用の小型コンピューターのバッテリー容量が不十分である可能性もあったため、これらの状況の改善方法を検討しながら、2例目以降の視線計測を実施した。また、本研究で購入した視線計測機器は音声の記録機能がなく、データ収集後のふりかえり時に術者の発言などの音声情報が必要と考えられた。当初は、視線計測機器のオプション機能を購入して音声を記録することを検討したが、最終的には、新たにデジタルビデオカメラを購入し、手技の風景も録画することで、その動画および音声情報も利用して、データのふりかえりおよび分析をおこなうこととした。2023年度に実施した1例目の視線計測では、小型コンピューターの発熱にも注意して術者に携帯し、冠動脈インターベンション中の術者の視線計測をおこなった。しかし、小型コンピューターのバッテリー容量が不十分であったため、新たに購入したモバイルバッテリーをコンピューターに接続した状態で、3例目および4例目の患者の冠動脈インターベンション実施中の視線計測をおこなった。その結果、通常の手技時間の記録は可能であった。小数例の検討であるが、経験症例数の異なる術者において、ステント留置手技中のエックス線透視画像および術者の手元の注視時間と生体情報モニタの注視時間を分析した。ステント留置中などのエックス線透視画像および手元の注視時間の割合が特に多くなる場面では、術者が生体情報モニタを注視する時間はごく短時間に限られており、周りのメディカルスタッフによる情報収集と術者への伝達が重要であると考えられた。今後は、経験症例数の異なる術者における、手技全般における生体情報モニタなどの注視回数の比較や、各場面の注視方法の違いなどを分析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、COVID19の流行も影響し、視線計測機器の購入にあたっては、機器の試用や発注および納品に時間を要した。また、清潔野で手技をおこなうカテーテル手技中に想定される状況への対応方法の検討にもやや時間を要したため、複数の症例でデータ収集をおこなうことができなかった。2023年度は、記録媒体の小型コンピューターのバッテリー容量や音声記録への対応もあり、視線計測を実施した症例数に影響した。また、患者および術者への倫理的思慮として難易度の高い症例は除外しているが、本院の冠動脈疾患患者は難易度の高度な症例の割合が非常に多く、本研究の対象となる症例が少ないことも影響し、実施症例数が想定よりも少数となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの検討により視線計測方法は確立することができているため、2024年度は、ひきつづき研究の対象となる患者を選択し、視線情報の収集をおこなう。また、データ収集後の分析および解釈については未知な部分が多く、多角的に検討する必要があるものと考えられる。よって、これまで収集したデータについても再度詳細にふりかえり、追加の症例数を確保しつつ、本研究の方向性を確立したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、視線計測機器で収集したデータを解析するアプリケーションの購入を計画していたが、収集したデータを定量化するにあたって、表計算ソフトのエクセルを用いて解析することが可能と判断したため、購入を計画していたアプリケーションの購入額は2023年度に使用しなかった。また、視線計測時の音声録音についても、市販のデジタルビデオカメラの機能で代用することができたため、音声録音機能を有するアプリケーションを購入額よりは安価に対応することができた。しかし、実施症例数の増加にともなって視線計測のデータ容量は予想よりも大きくなり、2024年度は、新たにデータ保存・解析用のパーソナルコンピューターあるいは外付け記憶媒体(SSD)等の購入が必要と考えている。その購入資金も含めて、2023年度の残額と2024年度の交付額でこれらの物品の購入を計画している。
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