研究課題/領域番号 |
22K11151
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
高橋 真紀子 高知県立大学, 看護学部, 助教 (30882948)
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研究分担者 |
川本 美香 高知県立大学, 看護学部, 講師 (10633703)
小澤 若菜 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (90584334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ケアリング / ケアリング・コミュニティ / 互助 / 共助 / 支えあい |
研究実績の概要 |
「後期高齢者が独居で暮らし続ける住民同士のケアリング」を明らかにするため、研究目標1:独居の後期高齢者と住民同士とのケアリングの内容を明らかにする、研究目標2:独居の後期高齢者と住民同士とのケアリングによってもたらされる変化を明らかにすることの、目標達成に向け、計画を進めている。 住民にみられる互助や共助と言われる住民同士のかかわりあいについて、ケアリングから迫ることで、一時的な関係でなく比較的長い経過を経て発展していくものとして、本人の可能性拡張にまで焦点を当てた探求となるよう理論基盤を敷き、研究枠組みの洗練化を行った。その後、住民同士の行為として、特に支援的行為がなされているか、その意図や目的を含めて表現していただけるように、どのように変化(何を獲得し、どのような肯定的変化)したのか浮かび上がるように工夫しインタビューガイド等を作成した。 倫理審査委員会の承認を受け(看研倫22-64)、研究協力に関する説明を施設に向け実施したい意向を市町村の統括保健師に伝え、研究協力に関する施設向けの説明会を複数の町村保健師に対し実施。選定していただいた地域で「独居の後期高齢者と住民同士で、互いに対象に対する行為を通し、行為した本人が自己実現に向かい、相互に質的な肯定的変化がある方」という条件を提示し、町村保健師と対象者の選定を行い、調査方法等の打ち合わせを入念に行い、独居の後期高齢者と住民を紹介していただくように依頼した。5月中旬から6月上旬にかけて研究対象者へアクセスし、研究協力依頼を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年5月から12月まで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、通常の業務に追加し、保健所の自宅療養者への相談業務へ支援に行くことが仕事の優先順位があがりました。そのため、研究への取り組みがやや遅くなりました。しかし、感染状況が落ち付き、各町村保健師への研究協力依頼が可能になってからは、積極的に町村へ出向き、施設責任者への説明、町村保健師との研究対象者選定の打ち合わせ等を実施している。現在複数の町村、複数名の研究対象者の調査を調整中である。研究対象者が住民の方でもあるため、社会的な動向を十分に踏まえ、安全に、安心して研究依頼ができるように努め取り組み進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月下旬から6月上旬までの間に、紹介していただいた独居の後期高齢者と住民の方に研究協力依頼を実施。その後、7月末から9月上旬にかけて30-60分程度インタビューを実施。参加観察の許可が得られた場合に限り、完全な観察者、ときに観察者としての参加者となり、独居の後期高齢者と住民同士のかかわりの場面を参加観察する予定。また、データー分析を並行して行い、ながら2023年3月までの間に複数回のインタビューを実施予定。2024年4月からはインタビューから得られたデータの逐語録を作成し、住民同士のケアリングについて語られている部分を抽出する。同じ対象者に参加観察している場合、フィールドノートに記入した観察記録の読み直しを繰り返し、観察している現象も同じように抽出する。住民同士のケアリングの内容が語られている部分が持つ意味や全体の語り、非言語的データの中での関係を、文脈に沿って検討しながらコード化し、ある特定の意味をもったコードをまとめ、それぞれのケースごとの住民同士のケアリングとして整理する。さらに、全ケースの住民同士のケアリングとして整理された内容を統合して、住民同士のケアリングを表す内容の類似性、関係性について比較検討し、関連のある内容をまとめていきながら抽象化し、カテゴリーを抽出する。また、共同研究者と議論を重ね、カテゴリーの関係性を合わせ、検討しながら分析し、後期高齢者の住民同士とのケアリングの内容を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、理論的基盤を敷き、研究枠組みの洗練化への取り組みに重点を置いていた。また、研究依頼、研究対象者の選定を丁寧に実施したため、データー収集まで至っていない。次年度は、データ収集を複数人に実施する計画ですので、ボイスリライトに使用する予定です。また分析に必応な文献をそろえる等の費用に使用します。
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