研究課題/領域番号 |
22K11566
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研究機関 | 山梨学院大学 |
研究代表者 |
矢部 哲也 山梨学院大学, スポーツ科学部, 専任講師 (60847010)
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研究分担者 |
安藤 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10447708)
小山 勝弘 山梨学院大学, スポーツ科学部, 教授 (30313779)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 内因性カンナビノイド / 低強度運動 / 性差 / 経時的変化 / ネガティブ感情 |
研究実績の概要 |
本研究は,運動による心理的ストレス軽減の作用メカニズムとして期待される内因性カンナビノイド(endocannabinoid, eCB)について,未だ研究報告の少ない低強度運動での eCB 分泌変動を経時的に観察し,その生体応答変動の性差にも着目し検討することを目的としている.運動処方の観点で運動実施率の向上を考慮すると,低強度運動による運動方法の提案がまず模索されるべきであり,心理的ストレス軽減に対する eCB の貢献度や,eCB 分泌そのものの性差も考慮した運動方法の構築は,抑うつ症状の改善にも貢献できると考える. そこで2023 年度は,2022 年度と同様の実験プロトコル(低強度運動と中強度運動の 2 条件のペダリング運動を 60 分間ずつ実施し,運動前安静時,運動開始 10,30 分後および運動直後に連続的に血液サンプルを採取し,さらに運動前後には気分指標も評価)を女子大学生 15 名に実施し,男子大学生の結果と比較することで性差を検討した. その結果,血漿 AEA 濃度および血漿 2-AG 濃度には,男性と比較し女性で有意な低値となる性差が認められた.さらに経時的変化では,血漿 AEA 濃度は運動直後まで漸増し,血漿 2-AG 濃度は運動開始 10 分後にピークとなり,それぞれの発現傾向を観察することができた.また,低強度運動における血漿 AEA 濃度とネガティブ感情には負の相関が見られ,運動による気分改善に AEA が影響している可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では当初の計画どおり,運動介入を実施した女子大学生 15 名から血液サンプルと気分指標への回答を収集できており,血液サンプルについては,液体クロマトグラフィー質量分析法での生化学的分析も完了している.以上のことから研究はおおむね順調に進展したと判断される.
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今後の研究の推進方策 |
2024 年度は抑うつ症状を示す男女大学生 30 名を研究対象者とし,2022 年度,2023 年度の eCB 分泌や気分指標の性差の検討から,男女それぞれに最適な運動条件を実施する.運動強度と運動時間の観点から最も簡易な運動方法を試行することで,抑うつ症状改善効果の検証を行う予定である.
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